中谷元防衛相は15日、沖縄県庁で玉城デニー知事と会談し、沖縄に駐留しているアメリカ海兵隊のグアムへの移転が開始されたことを伝達した。
会談で中谷防衛大臣は、2006年に日米両政府で合意していたアメリカ海兵隊のグアムへの移転が開始し、先遣隊として、来年にかけて第3海兵機動展開部隊の後方支援要員およそ100人が移転を開始すると説明した。
これに対し、玉城氏は具体的な移転スケジュールの提示を求めるとともに、沖縄県内で行われているすべての海兵隊の訓練をグアムやテニアン島に移転することも検討するよう要請した。
また、中谷氏は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を着実に進める方針も示し、基地負担軽減に取り組む姿勢を強調したが、玉城氏は「全く将来性のない工事だ」として、即刻中止するよう求めた。
さらに、米軍兵士による性暴力事件などについて、中谷氏は米軍側に再発防止の徹底を求めたと説明。玉城氏は、「凶悪な犯罪が後を絶たない背景には日米地位協定もある」と述べ、協定の抜本的な見直しを求めた。
日米地位協定については、石破茂首相が総裁選中に日米地位協定の改定に言及し、着手する意向を示していたが、首相就任後の所信表明演説では地位協定改定に触れなかった。
玉城氏との会談に先立ち、中谷氏は15日、那覇市内で在沖米軍トップのロジャー・ターナー4軍調整官(海兵隊中将)と会談し、軍人などによる事件・事故の防止を徹底するよう求めた。
沖縄の安全をめぐっては、中共の習近平が沖縄に関心を寄せている。
昨年6月初旬、中国共産党(中共)の機関紙・人民日報は、習近平の中国国家博物館への訪問記録を一面で報じた。尖閣諸島について明記された明代の抄本『使琉球録』の説明を受けた際、習近平は福建省福州市の党書記を勤めた当時を懐古して「福州と琉球の交流が深いことを知っている」と語ったという。
習の発言以降、官製紙やテレビ局で、沖縄の「帰属未定論」を広げる傾向にあり、沖縄に対する中共の影響力拡大への懸念が高まっている。
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