内憂外患に直面する中国当局は、とにかく現政権を守るための「安定維持」の行動を、いよいよ露骨にしてきているようだ。
今月24日、河北省の警察学校における実戦演習の動画がネットに拡散され、物議を醸している。その演習とは、なんと「公正と正義を求める」というスローガンを掲げる「民衆の抗議者」を、力ずくで鎮圧するものだった。
「正当な要求」を鎮圧するのが任務か
同じ警察学校の学生が演じるデモ隊も、なかなか迫真の演技である。そのデモ隊が手にもつ横断幕には、確かに「要公平、要正義(公正と正義を求める)」と書かれている。
つまり、演習とはいえ「全く正しい要求を掲げる民衆」を容赦なく鎮圧するのが、現代中国における警察の「任務」なのだ。
これに対して、ネット上のコメント欄には「これこそ、公平と正義を敵視する露骨な試みだ」「ついに政府は、被っていた羊の皮を投げ捨てたか」「これは国民同士で互いに闘争させる(中共の)戦術だ」といった批判が寄せられた。
この演習が行われた「中央司法警官学院」(河北省保定市)は、司法省(部)直属の司法警察養成学校である。
(10月24日、河北省の警察学校で行われた「公正と正義を求める抗議者」に対する鎮圧訓練の様子)
「これは文化大革命の再来か」
中国では、いまや「公正」「正義」「民主」「自由」など健全な市民社会では常識とされる言葉さえ、中国当局によってひどく歪曲化されてしまった。
それを口にすることは「外国勢力」の代名詞にもなっている。あろうことか、労働者集団による給料の支払いを求める抗議活動までが「外国勢力に扇動された」などと言われる始末だ。
これに先立ち、9月には雲南省にある大学「楚雄師範学院」で、まことに異様な模擬演習が行われた。
その演習とは「給料の支払いを求めて抗議する、出稼ぎ労働者の集団」を鎮圧する訓練で、大学生にその「抗議者集団」を演じさせている。
そもそも、ここは師範学院である。主として、将来の教師を養成するのが任務であるはずだが、そこで教えられるのは、このような暴徒まがいの役を演じることだ。
模擬演習ではあるが、あまりに狂気じみた光景に、半世紀前の悪夢を思い出した人も少なくはない。案の定、コメント欄には「これは文化大革命の再来か?」と懸念する声が相次いだ。
(2023年9月、雲南省の教育系大学で行われた「給料の支払いを求めて抗議する、出稼ぎ労働者集団」を鎮圧する訓練の様子。多くの大学生に「抗議者集団」を演じさせている)
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