洋上風力発電をめぐる収賄容疑で東京地検特捜部による捜査を受けて、自民党の秋本真利衆院議員は4日、外務政務官を辞任し、離党の意向を示した。秋本氏は再生可能エネルギー推進の「急先鋒」として活動していた経緯があり、政治と事業者の癒着の有無について真相究明を求める声が上がっている。
「国民の疑念を招くような事態となり、大変遺憾だと思う」。岸田文雄首相は4日の記者会見でこのように述べた。秋本氏が「馬主仲間」の塚脇正幸・日本風力開発社長から3000万円の資金提供を受けた疑惑については「捜査機関の捜査が進んでいる状況だ。現時点ではコメントを控える」と答えた。
なお、塚脇氏の弁護人は「賄賂ではない」と疑惑を否定している。
こうした中、メガソーラーや大規模風力発電等による環境破壊や、業者と住民の間のトラブルに取り組む団体からは、真相の解明と業界の健全化を求める声が上がっている。
「全国再エネ問題連絡会」で共同代表を務める山口雅之氏はエポックタイムズの取材に対し、再エネ事業者による不透明な資金提供について「真相とその背景事情を究明してほしい」と語った。
山口氏はかねてより再エネ開発の問題点を訴えたきた。今年2月のシンポジウムでは「再生可能エネルギーに内在する様々な問題が全てスルーされ、目標ありきで進んでいる。全国各地の森林が大規模に破壊され、土砂災害のリスクに怯える住民が、北海道から沖縄まで全国で増えている」と訴えた。
山口氏によると、再エネ開発が進む山間部では過疎化が進み、高齢の住民が多いことから「声をあげる術がない」状態だという。さらに、住民の同意を求める際に強引な手法を用いるなど、心理的なハードルが高いと指摘した。
山口氏は再エネ政策の重要性に理解を示しつつ、「悪質な事業者の介在や政治家との癒着など、国民の信頼を裏切るような実態があるならば、その全容を解明し、再エネ業界の健全化につなげてほしい」と吐露した。
秋本真利氏は国会でたびたび洋上風力発電について発言したほか、自民党の「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」の事務局長をも務めている。同議連の柴山昌彦・元文部科学相は4日、読売新聞の取材に対し「捜査の進捗を見守りたい」とコメントした。
内閣府政務官として務めた長尾敬前衆議院議員は取材に対し、「従来の電力ビジネスとは違う新たなビジネスは利権の温床になりやすい」と指摘する。民主党政権で始まったFIT制度(固定価格買取制度)のもと「その恩恵を受けた議員がたくさんいる」ため、今回の疑惑の裾野は相当広いのではないかと語った。
秋本真利氏については「あれもこれも再エネしかない、原発を動かすべきではないといつも言っていた。特殊だった」とし、「東京地検特捜部が捜査に入った。このこと自体相当深刻だ」と述べた。
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