「中共には屈しない。芸術で闘い続ける」香港人や中国人のアーティストが作品展を開催=英ロンドン

2023/07/05
更新: 2023/12/08

  今年7月1日の「香港返還26周年」に先立つ6月27日。香港人や中国人アーティストが、自らの芸術を通じてこれからも中共との闘いを続けるべく、英国のロンドンで作品展を開催した。

1997年7月1日、英国領であった香港は中国に返還された。アヘン戦争に敗れた清国が香港島を割譲した南京条約(1842)から数えて155年後のことである。

今月1日、その香港が、英国から中国へ返還されて26年周年を迎えた。ただしこの場合の「中国」とは、清国でも中華民国でもなく、1949年10月から北京の中南海を支配している、外来の共産主義政権によるものであった。

「返すべき相手を間違えたか」と誰もが思った。なぜなら、その相手である「中国」が、一国二制度によって「返還後50年間は香港の自由と民主主義を保つ」とした約束を、なんと50年の半分にも満たないうちに、手の平を返すように反故にしたからである。

2019年から2021年まで、香港の市民や学生は最大規模で200万人の街頭デモを行い、自らの正当な権利であり人間の尊い価値観である自由民主を守るため、その気概を存分に示した。

しかし中国共産党は、これを暴力で潰してしまう。かつては「東洋の真珠」と称えられた香港は、いまや自由民主の墓場と化し、すっかり往年の輝きを失ってしまった。

6月27日に、香港と中国の政治状況を伝えるため、ロンドンで開催されたこの作品展には、多くの地元市民も訪れた。初日には約200人が来場したという。

この作品展には、香港人芸術家の夫妻である「淋漓淋浪」や同じく香港人芸術家「vawongsir」の作品。さらには、海外に亡命中の中国人芸術家「巴丟草」による、香港や中国の政治問題をテーマにした17点以上の絵画が展示された。

これらの作品のテーマや素材として扱われたものとして、次のようなものがある。

香港の民主化デモや中国政府による洗脳教育。香港国家安全維持法(国安法)違反で服役中の香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)の創業者で、民主化活動家でもある黎智英(ジミー・ライ)氏。香港の民主活動家である黃之鋒 (ジョシュア・ウォン)氏などだ。

「被北京禁止(Banned by Beijing・北京に禁止されたもの)」と題されたこの作品展は、7月10日まで開催の予定。同展は、表現の自由を推進する出版団体「Index on Censorship」とキリスト教団体「St John’s Waterloo」が共同で主催している。

作品を出展した香港人夫妻のアーティスト「淋漓淋浪」さんは、今回の展示会は香港人の企画ではなく、地元の人々が企画した初めての展覧会であるため、それだけ支援の輪が広がっているということで「とても励みになっている」と大紀元記者に話した。

「淋漓淋浪」さんによると、同じ趣旨の企画としては、過去2年間に英国だけでも約20回の展覧会が開かれたが、いずれも香港人の主催や企画によるものだったという。

この展覧会を通じて、どのようなことを来場者に伝えたいかという記者の質問に「淋漓淋浪」さんは、次のように答えた。

「いま英国にいる香港人は、ただ避難するために来たのではありません。2019年の(大規模デモの)時とは方法が違いますが、香港人は今でもあきらめてはいないのです。我われは(芸術を通じて)闘いを続けていることを、来場者に伝えたいと思います」

香港人芸術家夫婦の「淋漓淋浪」さん(左から1番目と右から3番目)。香港人芸術家「vawongsir」さん(右から1番目)。中国人芸術家「巴丟草」さん(左から3番目)。(「淋漓淋浪」さんより提供)。

 

かつて香港大学のキャンパス内にあった、天安門事件の犠牲者を追悼する記念像「国恥の柱(Pillar of Shame)」を題材にした作品。香港人芸術家「vawongsir」さんが製作。(林一山/大紀元)

 

香港国家安全維持法(国安法)違反で服役中の香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)の創業者で民主化活動家でもある黎智英氏を題材にした作品。「淋漓淋浪」さんが製作。(林一山/大紀元)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
関連特集: 台湾・香港