台湾・漢光演習が開始 5大作戦重点に焦点

2026/08/06
更新: 2026/08/06

10日間9夜にわたる国軍「漢光42号」実兵演習が8月5日に開始された。中共のグレーゾーン事態への対処および「演習から実戦への転換」の脅威への対応を主軸とし、海・空・陸の三軍が同時に戦備態勢の展開を開始した。

台湾の国防当局者によると、今年の演習は即時戦備能力の検証に加え、全民国防、反封鎖護衛、無人機など5大重点項目に焦点を当て、台湾の総合的な強靱性を全面的に強化する。

中共がグレーゾーン事態を強化 台湾は「演習から実戦への転換」を警戒

国軍(台湾軍)の「漢光42号」演習初日は、敵軍が民兵船や海警などの手段で台湾に対しグレーゾーン事態を遂行することへの対処が主な内容だった。中共の「演習から実戦への転換」を警戒するため、海軍の各種艦艇は補給整備完了後に緊急出港し、同時に海軍の機動レーダーおよびミサイル車両部隊はそれぞれの戦術位置に展開して待機・迎撃態勢に入った。

空軍については、各型戦闘機が戦備転場を実施し、指定地域に移動して「戦力保存」を行い、防空部隊は全面的な戦備態勢をとった。陸軍は重要目標の防護および関連する重要地域の阻止・障害構築訓練を実施した。

中共の台湾に対するグレーゾーン事態の強度が持続的に増加していることを踏まえ、国軍がどのように対応するかも注目の焦点となっている。

国防部の当局者は「昔は中共軍の圧力がここまで強くなかったので、台湾側もこうした演習はしていなかった。しかし今、相手(中共)が台湾のレッドラインがどこにあるかを探ろうとしている。だから台湾側もそれに見合った対応を取らざるを得ない。今回の即時戦備訓練は、そうした対応の一環だ」と述べた。

国防部の当局者は、実兵訓練の目的は戦場環境に習熟し、現在の状況に応じて調整することであり、「その中で部隊と幹部を鍛錬し、予期どおりにいかないとき、計画どおりにいかないときにどう対応するか、これらが8月に行うことだ」と述べた。

戦車が戦術機動を実施(軍聞社提供)
M60A3戦車が迅速に重要目標に向かい防護訓練を実施。(軍聞社提供)

漢光には5大重点項目

国軍の今年の演習の重点は、大きく分けて5つの分野に整理できる。まず「全民国防」だ。国民全体で国防に取り組む体制のことで、有事の際に一般市民がどう行動し、軍にどう協力するかまでを含む考え方だ。

次に「反封鎖護衛」は、敵に海上封鎖された場合にそれを打ち破り、物資輸送を守る作戦を指す。この訓練の狙いは、戦争が起きて台湾が海上封鎖を受けた場合に、台湾の生命補給線、つまり食料やエネルギー、物資などを海外から運び込む輸送ルートで島国の台湾にとっては生命線に等しいものを、どう維持するかを確認することにある。

三つ目は「医療トリアージ・救護」だ。トリアージとは、大量の負傷者が出た際に誰から優先して治療すべきかを判断し分類することで、この分野では負傷者の応急処置と搬送の訓練が行われる。

四つ目は「後備動員」で、これは予備役、つまり普段は退役している元軍人を有事に召集し、部隊として活動できる状態に整えることを指す。

五つ目は「無人機」、すなわちドローンを使った作戦だ。今年はとりわけ複合攻撃のキルチェーン訓練に力点が置かれている。キルチェーンとは、敵を発見してから攻撃・撃破するまでの一連の流れのことで、ここでは複数の無人機を組み合わせて敵の防御を段階的に崩しながら攻撃していく手順を意味する。

5大重点項目の一つ目は「全民国防」だ。台湾では一昨年と昨年に、有事に社会全体がどう持ちこたえるかを検討する「強靱性委員会」と都市部で実際に有事対応を想定して行う「都市強靱性演習」がそれぞれ設けられ、戦争が実際に起きたときに国民がどう対処すればよいかを理解してもらうことを目的としている。今年もこの取り組みの規模はさらに拡大している。

国防部の当局者は、演習の目的は国民に戦時における自己防護の方法と軍事活動への協力方法を理解させることであると述べた。

戦闘開始時には全員が道路を奪い合い、市民は疎開しなければならないが、重要人員や避難が必要な人々にどう道路を使わせるか、さらに軍もまた道路を使用しなければならず、軍民が相互に理解し支え合い、市民の安全をいかに確保するかは非常に大きな課題であるとした。

第二は「反封鎖護衛」だ。国防部の当局者は、台湾は島嶼国家であり物資は海外からの輸入に依存しており、補給線と生命線は極めて重要で、軍事補給だけでなく市民の補給もあり、港湾や食糧物資は途絶させてはならず、補給は西太平洋から入ってくる必要があると述べた。

そのため反封鎖護衛は台湾の生命線を守る最も重要な作戦科目であり、国防当局者はこの訓練には海軍だけでなく海巡署(海上保安庁に相当)も参加し、グレーゾーン事態への対処から最大限の圧力、準戦争状態に至るまで、海軍と海巡の役割をどう転換するかが今回の訓練の重点であると述べた。

第三は「医療トリアージ・救護」だ。国防部の当局者は、戦時における負傷者の処置と後続の医療は極めて重要であり、大量の傷病者が発生した際には各兵員の「トリアージ分類能力」を正確に把握する必要がる。この部分は自動化とAI運用が導入されており、正確な分類によって医療資源を無駄にせず最も必要な箇所に投入しなければならないと述べた。

第四は「後備動員」である。国防当局者によると、過去の演習では「大隊」を単位としていたが、今回は初めて2個旅団を動員し、人数は約5千人で、非常に大きなチャレンジとなる。今回の訓練の鍵は動員演習のパラメータを収集・整理し、飽和状態かつ高強度の動員を維持して動員能力を把握することにあるとした。

第五は「無人機複合攻撃キルチェーン」である。国防部の当局者は、無人機はすでに世界の戦争における顕著な潮流であるが、国軍はウクライナをそのまま模倣することはできず、戦争の形態をそのまま適用することもできない。一方で無人機の運用は参考にでき、そのうえで台澎防衛作戦に立ち返り、軍事工業と多角的な観点からこの戦いをいかに向上・発揮させるかを考える必要があると述べた。

同当局者は例を挙げ、中共軍の艦船1隻が海上にある場合、その船には必ず艦載の防空能力があり、攻撃する際にはまず外側の防護力を処理しなければならない。

タマネギの皮を一枚一枚はがすように、まず無人機で火網を引きつけ、防護力を一層ずつ削ぎ落とし、防護力を低下させてから撃破に移り、時間差を設計して攻撃すると説明した。

(責任編集:鄭樺)

呉旻洲
荘璦筠