中国共産党の世界的な影響力拡大に対処する超党派の特別委員会が、米下院で結成した。委員長に就任したマイク・ギャラガー議員は厳しい米中競争の中で、中国共産党と中国人を明白に区別するため、委員会名に「中国共産党」を入れたと強調した。
ワシントンの連邦議事堂近くの屋外で記者団の取材に答えたギャラガー氏は「私たちは中国の人々と争うつもりはない。中国人は中国共産党によるジョージ・オーウェル的な全体主義監視国家の主な犠牲者だ。だから、私たちが取るすべての行動はこの区別を意識する」と語った。
また、中国共産党が在外華人を威圧する問題にもスポットを当てていく必要があると語った。異見者を圧迫する拠点である中国の海外警察署はニューヨーク市マンハッタン地区にあり、昨秋にはすでに連邦捜査局(FBI)が捜査に入ったと報じられている。
設立にあたり民主党議員からは、委員会が反中や嫌中を招くのではないかと指摘されていた。議会では、中国系米国人のジュディ・チョウ議員が「アジア系の人種差別を助長するような政策に使われるべきではなく、中国政府の特定の懸念に直接焦点を当てるべき」と述べた。
トランプ政権時代の2018年、司法省で作られた「チャイナ・イニシアチブ」は、偏見や嫌がらせを生むとの指摘を受けて昨年終了した経緯がある。同イニシアチブは、企業秘密の窃盗や経済スパイ活動の疑いがある中国企業や個人に対する調査と起訴を優先目標として設定していた。
マッカーシー下院議長は、委員会は超党派主義を貫くことを強調。「共産主義中国を信頼する時代は終わったというのが、超党派の共通認識だ」と述べた。
正式名を「米国と中国共産党との間の戦略的競争に関する米国下院特別委員会」とする委員会は、賛成365、反対65の投票で承認された。156人の民主党員が賛成に回る超党派委員会だ。16人以下のメンバーで構成される。
ギャラガー氏はまず、サプライチェーンの問題を明らかにし、米中の経済的なつながりを調査する。このほか台湾に向けられた人民解放軍の軍事圧力に対処するため、インド太平洋地域の米国の軍事力を評価するという。ミルウォーキー・ジャーナル・センチネル紙に語っている。
委員会は公聴会を開き、最終的には議会に政策提言を行う予定だ。
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