「悪竜の餌やりやめよ」 米名プロデューサー、中国共産党のハリウッド支配の内幕明かす

2021/03/29
更新: 2021/03/29

ハリウッドの名プロデューサー、クリス・フェントン(Chris Fenton)氏はこのほど、中国市場への参入のためにハリウッドが中国共産党政権の強大化と暴走を手助けしていることを暴露した。

フェントン氏は、中国最大のエンターテインメント企業であるDMG娯楽伝媒集団(Dynamic Marketing Group)に20年近く在籍した。同社の北米事業を統括するとともに、マーベルやディズニーなどのハリウッドの製作スタジオや映画会社を中国市場に導き、中国市場向けのマーケティングソリューションを提供してきた。

ハリウッド堕落の始まり

フェントン氏は3月18日、新唐人テレビの情報番組「熱点互動」のインタビューで、DMG社がハリウッドスタジオの中国市場への参入を「支援」していることを明かした。「なぜなら、私たち(DMG)は中国共産党の幹部を探し出し、宣伝したいコンテンツを承認してもらう方法を知っているからだ」「米国の製品やサービスが中国市場に参入するための中国政府の承認を促進することができる」という。

「しかし、私たち(ハリウッド)は次第に中国市場の魅力に気づき、中国当局の機嫌を取り、私たちのコンテンツを中国市場に投入してもらうために、中国(共産党)のプロパガンダを映画の中に盛り込むようになった」と述べた。

同氏によると、ハリウッドが中国市場に参入するために、「中国(共産党)に媚び、脚本を変更し、シーンをカットする」ことが一般的になっている。

また、ハリウッドは中国政府と協力し、チベット、台湾、香港、ウイグル人への圧政などの話題を避け、中国共産党のイメージを美化している。ハリウッドは現在、中国共産党のために事実上の自主検閲を行い、映画を通じて世界中に中国共産党のためのプロパガンダを積極的に広めている。

フェントン氏は昨年8月、英文大紀元のインタビューで、中国市場に入るすべての製品やサービスは、中国当局の厳格な審査を受けなければならないため、ハリウッドは、中国共産党の言いなりになっていると語った。例えば、パラマウント社は中国当局の要請により、映画「トップガン・マーベリック」から日本と台湾の国旗を削除したという。

「中国市場に参入するために、私たち(ハリウッド)は中国共産党に迎合するようなことをたくさんしてきた。そしてこれらは、米国ではなく、中国(共産党)の利益になる」と指摘した。

「世界中の誰もが憧れる場所」がフランスから中国に変更

フェントン氏はインタビューの中で、自身が企画に携わった映画「LOOPER/ルーパー(2012)」を例に、ハリウッドが中国共産党と結託していることを説明した。「この映画は当初、未来のフランスを舞台にしていたが、未来の中国に変更された。さらに、上海政府と協力し、40年後の上海のスカイラインをデザインした」という。

「私たちは、上海を地球上で最も革新的で技術的に進んだ都市、世界の中心となる未来都市として描いた」「(共産)中国は、40年後には世界中の誰もが憧れる場所としてブランド化された」

「これは、中国共産党が広めたいメッセージを、中国国内だけではなく、映画という形で世界に向けて発信することに等しい。(中略)しかし、この映画の中に中国共産党のプロパガンダが存在することを観客が見抜くことは難しい」と同氏は指摘した。

監督「映画『ムーラン』は中国へのラブレター」

ディズニー実写版「ムーラン」のニキ・カーロ(Niki Caro)監督は昨年9月、中国国営新華社通信の取材に対し、「多くの意味で、この映画は中国へのラブレターである」と語った。

昨年9月14日付のニューヨーク・タイムズ紙によると、この映画は製作に5年、2億ドル(約219億円)をかけて作られたもので、ディズニーはこの映画で中国での話題作りを期待していた。しかし、そうはならなかった。

新疆ウイグル自治区の100万人以上のウイグル人は、中国共産党当局に強制収容されている。ディズニーは、「ムーラン」のエンドロールで新疆ウイグル自治区の8政府機関に謝意を伝えたことで非難を浴びた。主演女優の香港警察擁護発言を発端に映画鑑賞ボイコット運動が広まった。

フェントン氏は新唐人テレビのインタビューで、ディズニーは過ちを認めて声明を出すべきだと語った。「もしディズニーが声明を発表し、中国共産党から報復を受けた場合、ハリウッドは一丸となって中国共産党との取引をボイコットすべきだ」という。同氏はハリウッドの同僚をはじめとする各界の人々に、中国共産党を容認せず、力を合わせて抵抗することを呼びかけた。

「悪竜の餌やりやめよ」

2019年に米プロバスケットボールNBA、ヒューストン・ロケッツの幹部が、香港民主化デモを支持するツイートをしたところ、中国共産党から批判され、謝罪に追い込まれた。この事件は、フェントン氏に衝撃を与え、心境の変化をもたらした。彼は20年近くにわたり、中国共産党のエンターテインメント業界への浸透に、自分が加担していたことを反省し始めた。

フェントン氏は昨年、回顧録「悪竜の餌やり:ハリウッド、NBA、米実業界が抱える1兆ドル規模のジレンマの正体(Feeding the Dragon, Inside the Trillion Dollar Dilemma Facing Hollywood, the NBA, & American Business)」を出版した。現在、自身がホストを務めるポッドキャスト「悪竜の餌やり(Feeding the Dragon Podcast)」を通じて、中国共産党によるハリウッド支配の内幕を詳細に暴露している。

(翻訳編集・王君宜)