パプアニューギニアで17日と18日アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催され、中国の習近平主席も出席する。これに合わせて、中国国内の迫害停止を求めるカナダの法輪功学習者は、トルドー首相宛ての書簡を公開した。迫害の停止は「中国の平和と自由を希望するすべての人々の願い」と主張した。
カナダ国籍の法輪功学習者・孫茜さん(52)は2017年2月、北京で拘束された。孫さんは中国新興企業500に数えられたリードマン化学の共同創業者で、バンクーバーと北京を行き来していた。世界の法輪功情報を伝える明慧ネットによると、10人のカナダ籍の法輪功学習者が中国で拘束されている。
トルドー首相に向けて「中国の平和と自由を求める人々のために声を上げて」
カナダの法輪大法学会はAPECに出席するトルドー首相に向けて公開書簡を宛てた。学会は、首相が中国側に収容されているすべての法輪功学習者を解放し、弾圧の即時停止を申し入れるよう希望している。
「カナダの国民は孫茜さんの身を心配しています」と同会代表・ 李迅氏は書いている。「APEC首脳会議では、法輪功を信じるだけで拘束された10人のために懸念を表明していただきたい。さらに、中国首脳に法輪功弾圧停止を求めてください。この大きな声は、中国がより平和、自由、法治の国になるよう望むすべての人々の願いです」
孫茜さんの家族によると、孫さんは北京収監所に収容されている。顔面に唐辛子スプレーをかけて固い椅子に縛り付けたまま放置するなどの拷問を受け、信念をやめさせるための思想転向のトレーニングを受けるよう強いられている。孫さんの裁判では、これまで11人の弁護士が中国共産党当局による圧力で交代した。
法輪功は、自己の心身修養のための気功法。真実、善良、寛容を理念としており1990年代前半に中国全土に広がった。中国体育局によると同年代後半には7000万人が学び、精神と身体の健康効果は高いとして東方健康博覧会で表彰され、官製メディアにも紹介された。
しかし、共産党体制は党を第一義としない精神の徹底排除を始めた。当時の江沢民主席は法輪功を「殲滅(せんめつ)する」とのスローガンのもと、弾圧を決定した。今日も迫害は続いており、中国国内のインターネットで法輪功は検閲され迫害情報は確認することはできない。
李迅氏は、中国国内法でも信仰の自由の保護が書かれているため、共産党による法輪功への迫害は違法だと指摘する。さらに、国営メディアや宣伝部によるヘイト・プロパガンダ(憎悪表現)は誤解を招き、憎しみを増幅させていると指摘した。
19年間続いた弾圧
明慧ネットによると、1999年に江沢民・共産党政権が開始した法輪功弾圧により、少なくとも数十万人の法輪功学習者が社会治安妨害などの容疑で拘留、労働施設などに収容されている。学習者の多くは弁護士をつけることを許可されず、罪や拘留期間は検察と裁判官が決めている。家族は拘留先がどこかは知らされていない。
収容者が拷問や虐待で死亡した例もあるが、多くは証拠隠滅のために遺体は焼却される。海外に渡った一部の家族は、死亡した学習者の遺体から臓器や眼球が摘出されていると同サイトに訴えた。また、収容を経験した学習者は、法輪功学習者が定期的な血液検査や内臓のX線検査など細かな「健康診断」を受けていたという。
2012年9月、倫理団体である臓器強制摘出に反対する医師の会(DAFOH)スポークスマンであるデーモン・ノト医師は、米国下院の外交問題委員会の公聴会に出席。中国国内の臓器移植件数は法輪功弾圧の開始とともに比例して急増していると述べた。また収容所は、需要に応じて臓器を摘出できるドナーが大量に確保された「臓器バンク」になっている恐れがあると語った。
(編集・佐渡道世)
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