今年の夏はなぜ暑い? エルニーニョとヒートドーム 猛暑を招く3つの原因

2026/08/04
更新: 2026/08/04

今年の夏、世界各地で最高気温の記録更新が相次いでいる。アメリカ、カナダ、日本、韓国、中国、ヨーロッパでは厳しい熱波に見舞われ、多くの地域で気温が40度近くに達し、一部では40度を超えた。

なぜ、今年の夏はこれほど暑いのだろうか。専門家は、単一の原因ではなく、複数の要因が重なっていると指摘している。

1.エルニーニョ現象

米海洋大気局(NOAA)の最新の観測によると、今年の夏、赤道付近の太平洋ではエルニーニョ現象が続き、さらに強まっている。

エルニーニョ現象とは、赤道に近い東太平洋の海面水温が、平年より高い状態で続く現象である。通常は2~7年に一度発生し、約9~12か月続く。

赤道付近の太平洋の海水温が異常に上昇すると、大量の熱が大気中に放出され、世界の平均気温を押し上げる。その結果、干ばつや熱波、森林火災、豪雨などの異常気象も起こりやすくなる。

科学者は、エルニーニョ現象が今年後半にさらに強まり、世界各地の天候に大きな影響を及ぼすと予測している。

エルニーニョ現象は今年11~12月に最も強まるとみられている。極めて強い「スーパーエルニーニョ」に発達する可能性も高まっており、観測史上最強規模となる可能性がある。

スーパーエルニーニョが発生した場合、熱波や豪雨、干ばつなどの異常気象が起きる可能性はさらに高まる。気象情報や警報を確認し、各地で発生する異常気象に備える必要がある。

赤道付近の太平洋の状態と天候への影響

通常の状態

エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない状態である。赤道付近を東から西へ吹く貿易風が通常通り吹き、西太平洋では雨が多く、東太平洋では乾燥しやすくなる。

エルニーニョ現象

暖かい海水が東へ移動し、貿易風が弱まるほか、西風が吹くこともある。西太平洋では干ばつや森林火災、東太平洋では豪雨や洪水が起きやすくなる。

ラニーニャ現象

貿易風が通常より強くなる。西太平洋では豪雨や洪水、東太平洋では深刻な干ばつが起きやすくなる。

2.ヒートドーム現象

気候リスク評価サイト「ClimateCheck」によると、高気圧が長期間停滞し、地上付近に熱がこもる現象は「ヒートドーム」と呼ばれる。これによって、数日から数週間にわたる熱波が起きることがある。

「ヒートドーム」は正式な科学用語ではないが、高気圧がふたのように上空を覆い、地上付近に熱を閉じ込める状態を分かりやすく表した言葉である。

ヒートドームが発生すると、広い範囲で厳しい暑さが続き、森林火災や干ばつなどを引き起こすことがある。

ヒートドームはなぜ起きるのか

北米の中緯度地域では、高気圧や低気圧は通常、西から東へ移動する。このため、寒気と暖気が入れ替わり、天候も変化する。

しかし、上空を流れる強い風「ジェット気流」が弱まり、大きく曲がったり、停滞したり、分断されたりすることがある。

ジェット気流の流れが停滞すると、高気圧も同じ地域に長期間とどまり、移動しにくくなる。高気圧が停滞すると、上空から空気が下降し続け、地上付近に熱がこもりやすくなる。

ヒートドームのイメージ図(大紀元合成)

ヒートドームは、気温に次のような影響を与える。

1.暖かい空気が上昇しにくくなる

通常、地面が太陽に暖められると、暖かい空気は上昇し、熱を上空へ運ぶ。

しかし、高気圧による下降気流が続くと、地上付近の空気が上昇しにくくなる。そのため、熱が地上付近にたまる。

2.雲ができにくくなる

空気が下降し続けると、水蒸気が上昇して冷やされにくくなるため、雲ができにくくなる。その結果、晴れて雲の少ない状態が続く。

雲が少ないと、太陽光が直接地面に降り注ぐ。地面がより多くの熱を吸収し、気温がさらに上昇する。

3.地面が乾くほど気温が上がりやすくなる

高温が続くと、土壌の水分が急速に蒸発する。

通常は、太陽のエネルギーの一部が水分の蒸発に使われるため、地表の温度上昇が抑えられる。

しかし、土地が乾燥すると、蒸発させる水分が少なくなる。そのため、より多くのエネルギーが地面を直接暖め、気温がさらに上昇する。

これにより、

地面が乾く
→ 気温が上がりやすくなる
→ さらに乾燥する
→ さらに暑くなる

という悪循環が生じる。

高気圧が停滞している間は、地上付近にこもった熱が逃げにくくなる。昼間は太陽が地面を熱し続け、夜になっても気温が十分に下がらない。そのため、翌日の日中はさらに気温が上がりやすくなる。

ヒートドームは数日から数週間続くことがあり、長期間にわたる強い熱波を引き起こす。

3.都市のヒートアイランド現象

人口が密集する都市部では、コンクリートやアスファルト、ガラス張りの建物が、昼間に大量の熱を吸収し、夜になってから徐々に放出する。

そのため、都市部では、同じ地域の郊外より気温が2~5度高くなることがある。大都市では、その差が8度を超える場合もある。

ヒートアイランド現象そのものは新しいものではない。しかし、ヒートドームなどと同時に発生すると、その影響がさらに大きくなる。

都市のヒートアイランド現象を抑えるには

カナダの気候情報サイト「Climate Atlas」によると、多くの都市では、次のような対策が進められている。

・公園や街路樹を増やし、建物の屋上を緑化する

・屋根や道路に、淡い色や太陽光を反射しやすい材料を使用する

・都市計画で風の通り道を確保し、空気の流れを改善する

・建物の省エネ性能を高め、エアコンなどから排出される熱を減らす

王蘭