中国、アフリカ諸国に6.7兆円資金提供へ、約束不履行の過去も

2018/09/04
更新: 2018/09/04

中国北京では3日、経済連携の深化を目指す中国・アフリカ協力フォーラムが開幕した。習近平国家主席が、アフリカに今後600億ドル(約6兆6600億円)の金融支援を行うと表明した。一部の専門機関は、中国と協力関係を築くことで、アフリカ諸国が負債トラップに直面すると警告した。

国際通貨基金(IMF)が今年4月発表した調査報告書で、アフリカの低収入国家のうち、4割が借金地獄に陥っていると指摘した。

IMFは、2017末まで、チャド、エリトリア、モザンビーク、コンゴ、南スーダン、ジンバブエは「債務返済に苦しんでいる」状態で、一方で、ザンビアとエチオピアは負債増加による「高リスク」にさらされているとした。

IMFは一部の国における債務拡大のペースが非常に速いと懸念した。ジブチの債務規模の対国内総生産(GDP)比率では、2014年約50%に対して、16年に85%に急拡大した。

アフリカ東部に位置するジブチは紅海やアデン湾に面することから、中国当局が主導する「一帯一路」経済圏構想では、アフリカ大陸の主要中継地とされている。中国メディア「騰訊網」が8月23日掲載した評論記事によると、中国はこれまで、同国での主要開発プロジェクトに約14億ドル(約1554億円)を融資した。同国GDPの75%に相当。

中国では今、アフリカ諸国が最大のインフラ建設融資先となっている。

英BBCは、米調査会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、12年から中国の対アフリカ融資額が3倍に増加したと報じた。15年と16年、中国がアンゴラに提供した融資額だけで190億ドル(2兆1090億円)にのぼった。

中国に寝返った台湾元友好国の現状

中国がアフリカ諸国に巨額の資金を提供する狙いの一つは、台湾を国際社会から孤立させるためでもある。中国マネーを手に入れた台湾の友好国は近年、次々と台湾と断交し、中国当局との国交を樹立した。

18年9月4日現在、台湾と国交を持つアフリカ国はスワジランドだけとなった。台湾メディアは、中国当局と新たに外交関係を結んだ元友好国の現状が「明るくなかった」と指摘した。また、中国当局による巨額の資金援助はアフリカの住民に不幸をもたらしたと批判。

東森新聞(8月24日)によると、アフリカのマラウイは中国側から「60億ドル(約6660億円)の資金支援」の提案を受けて、2008年台湾と断交した。その後のマラウイの経済状況が逆に悪化した。

08年以降、中国企業などが次々とマラウイに進出した。中国通信企業が同国の通信インフラ整備を担い同国の通信ネットワークを独占したほか、安い中国製品がマラウイ市場にあふれた結果、マラウイ企業が相次いで倒産に追い込まれた。

マラウイ国民の大半が中国企業で低賃金で働くことになった。現地の法定最低賃金がひと月あたり20ドルであるのに対して、中国企業での月給は13ドルしかないという。

11年7月、マラウイ国民が、国内経済・社会環境の悪化を抗議して、首都リロングウェ市や北部のムズズ市など各地で、ビング・ワ・ムタリカ大統領(故人)の退陣を求める大規模なデモを行った。一部のデモ参加者は暴徒化し、街中の店舗を破壊した。中国人が経営する店舗も含まれていた。

16年マラウイの1人当たり国内総生産(GDP)は300.79ドル(約3万3388円)となった。08年の372.84ドル(約4万1385円)から大幅に落ち込んだ。

また、台湾の医療チームがマラウイから撤退したことで、国交断絶の翌年に同国のエイズ死亡者の数は8万人に拡大したという。

同報道によると、台湾との断交を決定したムタリカ元大統領は過去に、「国民に合わせる顔がない」と後悔した。

立法院(国会に相当)の王定宇議員は以前、台湾メディアに対して、中国当局が台湾の友好国を切り崩すため、コンゴ、ガンビア、モザンビークなどに対して巨額融資を申し出たが、すべて翻意したと話した。マラウイと同様に、中国資本をあてにして頼るこれらの国に、中国国営企業や中国人労働者が殺到し、地元の産業が衰退した。

一方、アフリカのサントメ・プリンシペ(16年断交)や、中米のコスタリカ(07年断交)において、中国企業が主導するインフラ整備計画は現在、無期限延期されている。

台湾外務省スポークスマンの李憲章氏は8月28日に、米ラジオ・フリー・アジアに対して、元友好国に対して中国当局が支援をほごにしたことで、各国の国民生活に大きな損害を与えたと批判した。

(翻訳編集・張哲)