習近平失権の噂が飛び交う 専門家「政治闘争が依然、激しい」

2018/07/18
更新: 2018/07/18

先週末、習近平氏が「権力闘争に敗れ、すでに失権した」との噂がインターネットで飛び交った。中国問題専門家の間では、習氏の失権説について疑問視する一方、最高指導部で熾烈な権力闘争が広がっているとの見方が大半を占めている。

異変は、政府系メディアの報道にみられた。7月9日、12日と15日の三日間、中国共産党機関紙・人民日報の1面の見出しに「習近平」が含まれる記事が一つもなかった。1週間のうちに3日間も、トップページに習近平氏の名前がなかったのは極めて異例だ。

また、中国国営中央テレビ(CCTV)の12日夜の番組は、習氏について「国家主席」「党総書記」などの敬称を付けず、「習近平」と呼び捨てした。

11日付の国営新華社通信電子版「新華網」が発表した評論記事では、「個人崇拝」について批判を展開した。記事によると、文化大革命後、国家主席に就任した華国鋒氏が「個人崇拝を行った」ことで、党内で不満が噴出したという。華氏は党最高指導部である中央政治局で、自己批判を行った。「この事件は、華国鋒氏が失脚する前兆だった」と同記事が指摘した。

中国インターネット上では、「個人崇拝をした習近平氏に不満を募らせた党内の長老らが、中央政治局の会議を招集し、華国鋒氏のように、習氏を失脚させようとしている」との見方が広がった。一部のネット投稿では、「一号休息、大海領軍(習近平氏を失脚させて、政治局常務委員の汪洋氏を党首に昇格させる)」との投稿は注目を集めた。

陝西省社会科学院が6月下旬、習氏への個人崇拝を展開する「梁家河大学問」という研究プロジェクトの開始を発表した。文化大革命中、当局が都市部の知識青年を農村に移住させる運動、いわゆる「下放」によって、習近平主席は同省梁家河村で16歳から7年間過ごした。

国内ネット上では、当局はすでに「梁家河大学問」プロジェクトを中止させたとの書き込みが相次いだ。原因は不明だ。また、ツイッター上では、最近北京市内で深夜に銃声を聞いたなどの書き込みがあった。海外中国語メディアは、中国最高指導部では「政変」がすでに起きたと報じた。

香港紙・蘋果日報(12日付)は、中国当局の関係者の話として、北京警察当局は市内の公共場所にある習近平氏の写真やポスターなどを撤去すると通達した。4日、上海に住む女性が市中心部のビルの前で、習氏の顔写真が入っているポスターにインクをかけた。

中国政治評論家の夏業良氏は、政府系メディアなど一連の動きから、「習近平氏が党内の敵対勢力から攻撃されている可能性が高い」と話した。党内からの不満が主に、米中貿易戦の対応や国内経済の失速に集中していると夏氏が分析。しかし、ネット上で流れている一部の情報は信ぴょう性が低いとした。

大紀元コメンテーターの夏小強氏は、党内の権力闘争が絶えないのは中国共産党の特徴で、「ある種の常態だ」とした。

過去5年間あまり、習政権が主導した反腐敗運動によって、党内の多くの利益集団が打撃を受けた。「習氏の政敵は、習氏の失脚を虎視眈々と狙っている。米中貿易戦において、中国側が完全に劣勢になっていることは、習氏の失権につながる引き金になりうる」

また、中国最高指導部の内情を報じた海外一部のメディアについて、夏小強氏は「党内の各派閥がわざと流した」と指摘した。

中国政府系メディアが14日、習主席は19日から28日まで、アラブ首長国連邦、セネガル、ルワンダ、南アフリカ共和国を訪問し、南アフリカで開催される新興5カ国(BRICS)首脳会議に出席する、と報じた。

前出の夏業良氏は「政変リスクに晒されていれば、習氏は長期の海外訪問を控えるだろう。さまざまな憶測が飛び交っている今、習氏が予定通りに外遊するのは、敵対陣営を抑え込む自信があると周囲に示したいからだ」と推測した。

(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)