人権聖火リレー:ドイツ入り、「歴史の過ちを繰り返すな」

2007/08/20
更新: 2007/08/20

【大紀元日本8月20日】五輪聖地ギリシャで点火した人権聖火は8月18日(ドイツ現地時間)、ドイツの首都ベルリンに到着し、ベルリン五輪競技場で引き継ぎ式が行われた。式典では、ヒトラーが1936年、この競技場で五輪を主催したことが取り上げられ、講演者らは、「中国当局が2008年に五輪を主催すれば、1936年のときと同様に、五輪は独裁を粉飾する道具に悪用される」と歴史の過ちを繰り返してはいけないことを強調した。ドイツ人権聖火伝達大使アイネス・ガイペル氏(ベルリン芸術大学教授)が人権聖火を引き継ぎ、聖火を高く掲げながらスタートを切り、その後4人のランナーが聖火をつないでベルリン市街区を巡り、市の中心に位置するカイザー・ヴィルヘルム記念教会前まで走った。同夜には、同教会前の広場で、「ベルリン人権聖火歓迎」野外音楽コンサートが開かれた。

式典は、「法輪功迫害真相連合調査団欧州分団」「ドイツ国際人権協会」「共産暴力統治の被害者協会」などが共催し、約150人が参加した。

前東ドイツと旧ソ連時代に共産党の迫害を受けた人々が結成した35の協会を率いる「共産暴力統治の被害者協会」(UOKG)のワグナー会長は、「1936年のオリンピックは、国際舞台でヒトラーの独裁統治を一層強大化させた。あれは倫理道徳が欠けたオリンピックであり、ナチスの最大の宣伝ショーに化した。今日、我々はほぼ同じ状況に直面している。今回は、ドイツではなく、中国であり、ナチスではなく、中国共産党が率いる独裁国家であり、彼らはこの国の人民を圧制している。まさに70年前のヒトラー・ナチスの行いと同様だ」と強く非難、「もちろん、共産主義は中国で確かに変わったが、時代の変化に応じて衣を変えただけに過ぎない。この政権は本当に善くなったのか、人間性を有するようになかったのか、答えはノーだ。彼らは一刻もその野獣本質を捨てたことがない」と警告した。

「法輪功迫害真相調査連盟」(CIPFG)の欧州調査団の団長、イギリス上院議員キャロライン・コックス夫人が式典にメッセージを寄せた。その中で、夫人は、平和・正義・博愛のオリンピックは、大勢の国民が拷問・迫害を受けている中国で開催してはならないと指摘し、「いまは、全世界が中共政権に対し、もっと強硬な姿勢を示すべき時期がきた。正義を支持するすべての国々が一緒に北京五輪をボイコットするよう呼びかける。中共が即座に拷問とジェノサイド犯罪を停止し、法輪功への姿勢を変えない限り、我々はこの立場を変えることもない」と述べた。

「国際人権協会」(本部・フランクフルト)ドイツ支部の中国チームの責任者ケルパー氏は発言の中で、中国当局による法輪功への迫害を厳しく非難、「生きた法輪功学習者の臓器を強制摘出・販売する犯罪は、中国軍部が画策・推進、中国当局の了解を得ているジェノサイド犯罪である。オリンピック精神と完全に背けている。このような犯罪が進行している国で来年、オリンピックが開かれるのを想像するのも苦しい」と発言した。

豪州在住の戴志珍さんも7歳の娘・法度ちゃんを連れて式典に参加した。法輪功学習者である彼女の夫は6年前に、中国で投獄され、拷問・虐待に耐え続けても、法輪功修練の放棄を堅くなに拒否した。その後、山小屋で夫は遺体で発見された。6年以来、戴志珍さんは幼い娘を連れて、世界45ヶ国を遍歴し、国際社会に対し、中国当局による法輪功への迫害を訴え続けた。今回の式典で、彼女は、「これは21世紀において、中国で発生している最大の悲劇。私たちは、あなた達と一緒に、強制労働収容所などに監禁されている数十万人の人々を救援できる。彼らは今も生きたままで臓器を摘出・売買されるのかもしれない」と呼びかけた。法度ちゃんは、人権聖火を掲げたガイペル氏と手をつなぎ走った。

法度ちゃんとガイペル氏(大紀元)

ランナーとともに走る支援者ら(大紀元)

東独時代の元陸上選手、女子4×100メートルリレーの世界記録保持者だったドイツ人権聖火伝達大使を務めたアイネス・ガイペル氏は、「自由の中国でオリンピックを開催するのを望んでいる」と述べた。同じく東独時代の元スポーツ選手、アンドレ・クリーガー氏とウト・クラウス氏も参加し、ベルリン市街区を巡る全行程7キロメートルを走り、同日午後5時半ごろ、ゴールのカイザー・ヴィルヘルム記念教会前に到着した。同教会は、第二次世界大戦で爆撃を受けたが、広島の原爆ドームと同様に戦争の悲惨さを伝えるために修復せずに崩れたままの姿で保存され、暴力と独裁政治、

暴力と独裁政治、戦争の惨禍を人々に伝えるカイザー・ヴィルヘルム記念教会=手前にあるビルは新しい教会の建物(wikipedia)

東独時代の元スポーツ選手クリーガー氏(左)とクラウス氏(右)(大紀元)

戦争の惨禍を人々に伝える。

人権聖火が8月にドイツに到着したのも意義深い。1936年8月1日から同月16日まで、ドイツ・ナチス政権下、第11回オリンピックが開かれ、独裁政権は血なまぐさい侵略戦争の道を歩んだ。また、1961年8月13日、共産党化したドイツ社会主義統一党独裁政権の下、東ドイツは、有刺鉄線の最初の「ベルリンの壁」の建設を開始し、ドイツを分断した。

こうした不幸な歴史を伝える8月に、人権聖火がベルリンに到着したことは、平和・正義・博愛を求める人々は過去の忌まわしい歴史に決別し、ベルリンの歴史に新たな1頁を加えたと言えよう。

(記者・文靖、翻訳・叶子、編集・月川)