中国安徽省:卒業証書問題、専門学校生千人以上の大規模抗議デモ

2007/06/19
更新: 2007/06/19

【大紀元日本6月19日】学校側が入学時に保証されたはずの正式な卒業証書をもらえなかったとして、安徽省合肥市の新華電脳専修学院(パソコン技術専門学校)の学生千人以上が、デモ抗議を行った。交通が渋滞し、数時間で学校の窓ガラスや扉がほぼ全部破壊された。抗議事件発生後、大量の武装警察が動員され、安徽省政府・教育部の関係者が現場に駆けつけた。最終的に学生1人につき3千元(約5万円)を払うことで決着をつけた。この事件は、中国国内では一切報道されなかったが、情報によると、各地で同様の抗議暴動が頻発しているという。

新華電脳専修学院のデジタル・メディア専攻の学生は最近になって、交付される卒業証書は、2年前に学校側が保証したはずのデジタル・メディア専攻証書ではなく、電脳応用専攻に変わったことに気づいた。デジタル・メディア技術は中国で人気があるため、就職に有利。学校側は学生を募集する際に、この卒業証書を交付すると約束した。この専攻の学生の大半は農村部の出身で、実家の経済状況は苦しい中で、将来、良い仕事に就くために、毎年約1万元(約15万円)の学費を払ってきた。ところが、卒業するにあたり、正式な証書をもらなかったとして、学校の窓ガラスや扉を壊すなどの暴力行為に走った。

今回の大規模抗議事件の発端は5月22日夜、学生寮の停電・断水事故に始まる。当日は真夏日だったため、鬱憤が溜まっていた学生の怒りは一気に爆発した。午後11時半ごろ、学生寮からポットや消火器、トイレの扉、電球などの物品を投げ落とし、午前2時まで続いた。一部の学生は集団で抗議デモすることや、直訴することなどを計画し始めた。

5月23日、学生千人以上が街に出て、抗議を行った。午後2時ごろ、学生たちは、「新華、詐欺師、新華、詐欺師」「青春を返せ、お金を返せ」などのスローガンを叫び続け、合肥市と肥東市をつなぐ国道の交通を封じようとした、数十分後に、交通警察と公安が相次ぎ現場に駆けつけた。交通は午後3時ごろ、完全に遮断された。

傍観する市民らは、抗議デモの情報を合肥テレビ、肥東テレビ、安徽テレビ、各新聞社などに提供した。学生らの話によると、午後5時ごろに、2人の記者が現場に到着したが、学校側と接触した後、すぐに現場から立ち去った。

午後4時半ごろ、学長が現場に姿を現したが、問題の解決には至らなかった。

午後6時ごろ、ある警備員が学生1人を殴ったため、学生らが怒りだし、学校の校門を取り壊し、保安科のオフィスを破壊した。その際に、約100人の警察が配置されたが、現場は依然騒然となっていた。学校の保安員全員が逃げ去った。その後、公安と学校が説得する中、学生は学校に戻り、午後7時半に、交通が復旧した。

ある学生は、「学生寮の窓ガラスなどがすべて壊され、保安科やパソコン教室、院長室も怒りを発散する矛先となった。自分は数個の電話ボックスを壊した」と話してくれた。

午後8時から同9時の間に、中国教育部副部長や安徽省副省長、合肥市市長などが相次ぎ学校に到着した。一方、300人以上の武装警察・特殊警察を派遣した。一部の学生が電気警棒で打たれ、一時的に意識を失い、数人は病院に運ばれたとの情報が寄せられた。学校には消防車が配置され、抗議する学生を高圧水で退散させるためだという。

午後9時半ごろ、抗議が再び始まった。学校施設のドアや窓はほとんど破壊され、消防機材も壊された。寮の最上階の踊り場にある貯水タンクも地面に落とされた。校旗が焼かれ、学校の「誠信弁学」の看板も学生に踏み潰された。学生と警察はにらみ合いの状態になり、そのうちに省委員会や市委員会、教育庁などの各機構の関係者も現場に駆けつけた。

各政府部門の関係者が校内で緊急会議を開き、午前0時ごろに、学生に談話を発表した。その翌日、学生らは依然授業を再開させなかった。ある学生によると、「いま、学校はほとんど壊されている」と証言した。翌々日の5月25日、学校側は1人の学生につき、3千元(約5万円)を支払うと発表

し、事態が収拾した。

本紙記者が「安徽省政府服務処」に電話取材したところ、電話に出た男性職員は記者の質問を聞いた後、しばらく沈黙し、「このようなことは発生していない」と答え、電話を切った。

また、記者が同学院の問い合わせ電話に掛けたが、スタッフが抗議事件の発生を否定した上で、どこからこの情報を知ったのか問い詰めた。

今回の学生抗議事件について、発生当時に多くのメディアが現場に駆けつけたが、一切報道されなかった。インターネットサイトでの少数の書き込みもすぐに削除されている。一部では、学校の経営に、江沢民・元国家主席の妹・江沢恵氏が関係しているとの噂が巷で流れている。

新華電脳専修学院は1988年に設立され、中国国家信息産業部や、教育部、労働・社会保障部などに直属し、主にコンピューター技術の応用や、ネット・ソフトウェア開発などの専攻が設けられている。