【大紀元日本5月24日】中国訪問中のメルケル独首相は22日夕、中共指導者との会談後に、中国9億人の農民の貧困状況を描いた「中国農民調査」の著者である陳桂隷氏夫婦や、民間人権活動家二人と面会した。人権活動者らは、西側首脳のこれまでの対中政策と違い、同首相の中国の人権問題を重視する新しい外交政策を高く評価した。
中央社の報道によると、陳桂隷氏ら4人は22日夕方5時半、北京のドイツ大使館でメルケル首相と対面した。30分の予定時間を超え、約40分にわたり意見交流した。メルケル首相がその後晩餐会に出席するため、面会を終了した。
陳桂隷氏は、「非常に感激した。首相はとても優しく、日常会話のように話が進み、まるで農村にいるような穏やか雰囲気だった。他の政府高官のイメージとはまったく違う」と語り、面会では人権問題に触れたと明かし、ドイツ政府は中共政権に人権問題に関心を寄せるメッセージを発したとの見解を示した。
また、陳桂隷氏によると、首相は中国の農村問題を多く尋ね、陳氏夫婦はサイン入りの「中国農民調査」を首相に進呈したという。
陳桂隷氏は取材で、「中国の農村部では、問題が山積みで、土地所有権の改革や農民の処遇改善、農村部子供の義務教育の徹底や、医療保険制度の確立などが存在する」と明かした。
夫婦は、3年間をかけ、千人以上の農民を取材、その間、命が危険な状況に曝され、様々な困難を乗り越え、「中国農民調査」を完成させた。著書の中で、地方政権の腐敗と農民が置かれている悲惨な状況を暴露したため、国内外で大きな反響を引き起こした。2004年、年初に出版されてわずか3ヶ月で出版禁止を命じられたが、海賊版約8百万部が市場に出回った。同年10月、報道文学のノーベル賞とも言われているユリシス賞(Ulyssis)を受賞した。また、陳氏夫婦はこの著書の中で、職権濫用の安徽省・汚職幹部を実名で報道し、農民の血を吸い取る地方政権の実態を暴露したため、現地の中共幹部に訴えられていた。
今回、一緒に面談に参加するほかの2人は、韓会敏と魏偉の両氏である。韓会敏氏は都会に出稼ぎに来た女性を支援する団体を立ち上げ、魏偉氏は出稼ぎの農民の人権を守る組織「小小鳥」を結成した。共に農民問題に関心がある人権活動家である。
米国VOAの報道では、米国伝統基金会のベテラン研究員フェミシン氏の発言を引用、「メルケル首相の対中国政策は、シュレーダー前首相の中国寄りの姿勢を変更する見通し。シュレーダー前首相は対中国武器禁輸の解禁を支持し、経済協力関係の発展に注力。一方、メルケル首相はその経済政策を引き継いだが、人権問題について、独自の主張を表明しようとしている。明らかにメルケル首相はその前任者と違い、人権問題により多く関心を寄せている」と報じた。
北京大学の元副教授・焦国標氏は、「西側国家の首脳が自ら中国の非政府関係者に接見することは、中国で胎動しかけている民主勢力の励みなるだけでなく、新たな外交伝統を開拓した」と高く評価した。
専門家は「欧米国家はすでに中国の民主活動や、自由社会の実現の訴えなどに関心をよせ始め、この現状の発展は、必然的に中共政権の独裁を脅かす。それに加え、民主や、自由などの理念が中国社会に浸透することで、全国民の意識変化をもたらし、このような状況が進化すれば、中共政権が恐れている東ヨーロッパ式の共産党独裁体制の崩壊も遠くはないはず」と分析した。
メルケル首相は23日、上海でバチカンが承認したカトリック教の金魯賢・司教と面談した。
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