イーサン・ガットマン氏はこのほど、中国でのビジネス経験を著書『新中国に迷う:米国通商、理想、そして背信』にまとめ、米国企業が経済的利益のため中国特有の政治風土に身を染められ、「中国型アメリカ企業」に変容して行く内幕を描いた。ガットマン氏は、「アジアウォール街」「標準週刊」「投資者毎日商業」など各メディアで執筆している。8月28日付中国時報では、「中国の改革開放から十数年が経つが、米国との貿易関係を通じ中国民主化の状況に改善が見られない。特に米国情報産業の企業は、中国市場への参入権を取得するために、中国共産党と手を組み、世界で前例のない大型コンピュータネット監視システムを開発提供したが、これは民主化という普遍的価値に反する行為である」と厳しく批判した。
中国で利益を上げている米国企業は全体の5%?
ガットマン氏は、自ら収集した関係資料で、「中国で投資している米国企業の5%しか利益を上げていない」と指摘している。
在中米国商工会議所の政府関係委員会の副主席だった同氏は、「米国の『対外投資法』は、現地政府官僚に対する賄賂の提供を禁じているにもかかわらず、中国に投資する米国ビジネスマンの一部は、中国特有の賄賂文化に身を染めている。有名なモトローラ社は毎年利益の3%を中国官僚に供与。正真正銘の「中国型アメリカ企業」と変貌した」と語っている。
ガットマン氏は、中国に滞在する数年間、某公共事務会社の高級顧問、北京テレビ局の中米テレビ討論番組の執行プロデューサー等を歴任。その著書、『新中国に迷う:米国通商、理想、そして背信』(Losing the New China: A Story of American Commerce, Desire and Betrayal)は、全世界の注目を集め、波紋は米国政府高層部まで及んだ。ガットマン氏は、「もう二度と中国には戻れない覚悟はできている」と語った。
ある著名な評論家は書評でこう評している、「これは眠りを奪う本である、読み始めると止まらなくなり、読み終わっても相当長い間、繰り返しこの本の意味を考えるはずだ」「各ページが政治指向の強い作家らの意見を色あせさせる内容で溢れている」「米国企業が中国共産党に加担し、1989年に天安門広場に立てられた自由を求める女神像を、どのようにして今日、中国社会において隆盛を極める財神像及び戦神像に代えたか、その全過程を知ることができる」。
7月10日米国国務長官のライスと中国国家主席胡錦涛の会談(AFP通信)
モトローラ社は中国共産党に最先端の位置特定装置の技術を無償供与
2004年12月21日、ワシントンの米国ナショナル記者クラブで、英語版「九評共産党」のシンポジウムが開催された。その席でガットマン氏は実体験を語り、「米国企業、特に情報産業の企業は、中国市場への参入権を取得するために、中国共産党に加担し、ハイテク監視システムなどの技術を提供し、言論の自由に対する弾圧および専制独裁政権の反対者らの監視と弾圧に協力した」と指摘した。
この件に関して、ガットマン氏は、同書で実例を挙げ説明。米国企業のシスコ(Cisco)社、ノーテル(Nortel)社、サン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems)社、アメリカヤフー、AOL-タイム・ワーナー(AOL-TIME WARNER)社、ネットフロントRSA(Netfront RSA)社、セキュリティーズ・ウォッチガード(Securities Watchguard)社など協力により、中国共産党は、国内ネットシステムを完全コントロールすることに成功したという。
ノキア(Nokia)社とモトローラ社は、競って中国共産党に最先端の位置特定装置の技術を無償供与し、その結果、北京のタクシーに乗車するあらゆる人の位置確認と追尾が可能になった。Nortel社のある高級エンジニアは、ガットマン氏に「自社が開発した情報の追尾・獲得技術は、専ら対法輪功のために開発されたものである」と明かした。
中国市場への参入するために、300個のパソコンウィルスを無償提供
ガットマン氏によれば、セキュリティソフト メーカーで米国のマカフィー(McAffee)社と ノートン(Norton)社と日本のトレンドマイクロ社が、300個のパソコンウィルスを中国当局に無償提供することにより、中国市場への参入権を入手。事実上、将来中国共産党が各国に対し行うであろうウィルス攻撃に加担したことになる。
ガットマン氏は「これらのすべての企業は自分の技術は中立的なものと称しているが、事実これらの中国共産党に対する加担行為は、アメリカの戦略的利益、アメリカの価値観、アメリカの海外イメージを損なっている。これは、世界の民主化と言論自由に対する敵対行為であるが、なにより、一番の被害者は、中国国民である」と指摘した。
「中国の経済成長は、民主化につながらなかった。この問題にライス氏が主導する米国国務省がもっと積極的に行動を起こすはずだ」と同氏は期待を寄せた。
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