政府 成長戦略17分野・62品目から重点項目を選定へ 日銀ETF売却益を活用した新たな投資財源も検討

2026/11/07
更新: 2026/11/07

政府は11月6日夕方、首相官邸で第9回「日本成長戦略会議」を開き、「日本成長戦略実行計画」の策定に向けた重点施策や財源確保、国内投資の促進策などについて議論した。

2040年度を見据え、戦略17分野に含まれる62の主要な製品・技術などから重点項目を選定する方針を示したほか、日本銀行による上場投資信託(ETF)の売却加速に伴う追加売却益を活用し、新たな特別会計の創設や「つなぎ国債」の発行を検討する構想が示された。

会議では、半導体、創薬、フィジカルAIの各分野の事業者から国内投資に向けた課題を聞き取り、関係府省庁が連携して成長戦略を実行するための体制や、建設供給力、電力インフラなどの整備についても協議した。

戦略17分野・62品目を3つに分類 2040年度見据え重点化

政府は「日本成長戦略実行計画」の策定に当たり、戦略17分野と62の主要な製品・技術などを「足元の収益源」「今後の稼ぎ頭」「経済安全保障の強化」の3つに分類する方針を示した。

今回の会議では、「足元の収益源」と位置付けられる半導体、創薬、フィジカルAIの各分野の事業者からヒアリングを行い、投資案件の具体化に向けた課題などを聞き取った。

「経済安全保障の強化」では、海外への過度な依存を減らし、重要な製品や技術の安定供給を確保するための産業基盤を重視する。

政府は、2040年度までの経済波及効果に加え、経済安全保障上の「自律性」と「不可欠性」への貢献度を踏まえて重点項目を選定する。

自律性は、重要な産業や技術を国内で維持できる能力を指し、不可欠性は、他国にとって代替が難しい技術や製品を確保することを意味する。こうした観点から優先的に支援する分野を絞り込み、官民の投資を促す方針である。

半導体・創薬・フィジカルAI事業者が投資課題を説明

会議では、半導体、創薬、フィジカルAIの各分野の事業者が、国内投資を進める上での課題や政府に求める支援策を説明した。

半導体分野では、各国政府が巨額の資金を投じて製造拠点の誘致を進めている状況を踏まえ、日本国内に半導体の供給網(サプライチェーン)を確立するため、大規模かつ計画的な投資支援が必要だとの意見が示された。

半導体分野では、各国が産業政策を競い合う中で、日本国内に半導体のサプライチェーンを確立するため、大規模かつ計画的な投資支援策が不可欠であるとの意見が示された。

フィジカルAI分野では、日本が強みを持つロボット技術や製造装置などとAIを組み合わせた産業の発展に向け、国産AI基盤の確立を加速する必要があるとの意見が出された。

また創薬分野では、国民の生命や健康を守る「健康医療安全保障」の観点から、革新的な医薬品の国内製造を促進する必要性が指摘され、事業者は、医薬品の革新性を適切に評価する薬価制度の整備など、国内の創薬環境全般を改善するよう求めた。

各府省庁に成長戦略推進担当官 投資額と成果目標を明確化

政府は成長戦略の実行体制を強化するため、各府省庁の幹部を「日本成長戦略推進担当官」に任命した。

高市早苗首相は会議の締めくくりにおいて、出席した企業関係者の背後に並ぶ各府省庁の幹部に触れ、担当官が関係府省庁や民間企業と緊密に連携し、計画の実行と成果の実現について自らの責任として取り組むよう求めた。

担当官は省庁の枠を越えて連携し、民間企業との協力を通じて国内投資案件の具体化を進める。

また、高市首相は城内実 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)に対し、「日本成長戦略実行計画」の取りまとめを指示した。

実行計画には、具体的な官民の投資額や達成すべき成果目標を明記する方針である。

関係大臣と推進担当官は、それぞれの所管分野において国内投資を促進し、計画に掲げる目標の実現に向けて取り組む。

日銀ETF追加売却益を成長投資に活用 新たな特別会計を検討

成長投資を支える財源については、日本銀行が決定したETF売却の加速化に伴う追加売却益を活用する構想が示された。

政府は、この追加売却益を日本経済の「成長の果実」と位置付け、危機管理投資や成長投資に再投資することで、さらなる経済成長につなげることを目指す。

具体的には、「『強く豊かな日本』投資枠」のうち、経済安全保障上、特に重要な分野などの事業を計上するため、新たな特別会計を創設する方針だ。

さらに、将来の追加売却益を償還財源とする「つなぎ国債」を発行し、公的支援に必要な資金を前倒しで確保する仕組みも検討する。

政府は、長期的かつ計画的な支援の見通しを示すことで、企業が国内投資を判断しやすい環境を整え、民間資金の流入を促す考えである。

新たな特別会計の詳細な制度設計や、対象となる個別事業については、今後の予算編成過程で精査する。

建設供給力や電力インフラなど「足元の4つの課題」に対応

会議では、国内投資を進める上で、建設工事の受け入れ能力や電力供給などの制約が課題となっていることも指摘された。

政府は、こうした問題を含む「足元の4つの課題」として、「建設供給力の確保」「成長分野への資金供給」「電力インフラの強化」「AX(AIトランスフォーメーション)の推進」を掲げた。

会議のヒアリングでは、「建設供給力」や「電力インフラの強化」が国内投資を促進する上での喫緊の課題であると指摘された。政府はこれらを含め、「建設供給力の確保」「成長分野への資金供給」「電力インフラ」「AX推進」の4つを「足元の課題」として位置付け、すでに政府横断で議論を進めている。

高市首相は関係大臣に対し、これら4つの課題について民間企業とも緊密に連携し、即効性のある具体的な対策の検討を加速するよう指示した。

実行計画の策定へ 官民投資額と成果目標の具体化が焦点

政府は今後、戦略17分野・62品目の中から重点項目を選定するとともに、官民の投資額や成果目標を盛り込んだ「日本成長戦略実行計画」の策定を進める。

また、日銀ETFの追加売却益を活用する新たな特別会計の制度設計や、つなぎ国債による資金調達の仕組み、対象事業の選定についても検討を進める。

半導体や創薬、フィジカルAIなどの成長分野への投資支援と並行し、建設供給力や電力インフラの整備など、企業が国内で投資を実行するための環境整備にも取り組む。

2040年度を見据えた重点分野への投資を通じ、日本経済の成長と経済安全保障の強化を図る方針だ。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます