アンソロピックCEOの論考が議論呼ぶ 米専門家 中共のAI野心抑制を提言

2026/09/15
更新: 2026/09/15

米人工知能(AI)企業アンスロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は12日、最先端AIモデルの開発速度を緩めるよう呼びかける論考を公表し、中国共産党(中共)の官製メディアの反発を招いた。米国の著名なAI政策専門家は、今回の言葉の応酬は、米国がAI半導体やその他の技術に対する輸出規制を実施する重要性を浮き彫りにしたと指摘した。

アモデイ氏は論考で、技術が制御不能となるリスクを回避するため、「最先端AIの開発ペースを制御しなければならない」と訴えた。イーロン・マスク氏やサム・アルトマン氏ら、米AI業界の有力者も支持を表明した。

中共系の環球時報は9月13日、論評を掲載した。表面上、アモデイ氏の論考は世界のAI安全保障に着目した「理性的な発言」に見えるが、その中には中国を対象とする多くの抑制条項が隠されており、実質的にはAI分野の「冷戦シナリオ」であると主張した。

アモデイ氏は論考で、自身が提案するAI開発の減速が直面する「最大の難題」は、中共のような敵対勢力が歩調を合わせて減速することを拒否した場合、米国が巨大な戦略的リスクに直面することだとも記した。米国と旧ソ連が締結した核兵器条約を一つの潜在的なモデルと位置付けたが、実現の難易度は極めて高いとした。

AIの安全性、政府による規制、国際的な協調のあり方を巡る今回の大きな議論を受け、米シンクタンク外交問題評議会(CFR)の中国・新興技術担当上級研究員で、元ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)技術・国家安全保障担当副上級部長を務めた半導体サプライチェーン・AI政策の専門家、クリス・マクガイア氏はXへの投稿で、米政府に対し、中国向け半導体輸出規制を強化するよう改めて求めた。

マクガイア氏は環球時報の論評について、中共政府は今や、AI安全分野で米国と実質的に協力することを明確かつ断固として拒否したと指摘した。こうした展開は予想されていたものであり、米国がAI半導体やその他の技術に対する輸出規制を実施する重要性を浮き彫りにしているとした。こうした規制措置は現在、いかなるAI安全規制の枠組みにも不可欠な要素であることにもはや議論の余地はなく、緊急の政策課題として優先しなければならないと訴えた。

同氏は、中共政府が自国のAI能力を制限することを目的とした米国の提案を、米国が中国に対する技術的優位を固定化しようとする試みとみなしていることは意外ではないとした。中共はこれまでも、米国の軍備管理に関する提案を同じ視点から捉えてきたためである。

さらに、トランプ大統領が、AI分野で中国に対する優位を保つことは米国にとって生死に関わる問題だと指摘していることを踏まえれば、中国が自国のAI研究機関にはなお米国を追い越す機会があると考えている限り、自国の研究機関にいかなる制限も課そうとしないのは当然であり、こうした考え方は理解できると説明した。

中共がAI分野で米国に追いつくことはできないと認識するか、キューバ危機のように、中共政府に衝撃を与えて見方を変えさせるほどの壊滅的な出来事が発生しない限り、中共がこの立場を変える可能性は低いとの見方を示した。

中共が交渉を通じて自国のAI研究機関に何らかの制限を課すことに同意しない状況では、米国がAI分野で優位を保つために残された選択肢は二つしかないと、マクガイア氏は分析した。

一つは、AI半導体やその他の関連技術に対する輸出規制を強化し、中共のAI開発を遅らせることである。中共が米国との競争力を維持するには、こうした技術を必要とするためである。

もう一つは、競争で中国を上回るため、可能な限り速い速度で開発を進めることである。その場合、安全確保のためAI開発を遅らせることを求める米国の研究機関からの規制要請を拒否し、「AIの開発が速すぎれば壊滅的なリスクを引き起こす可能性がある」とする研究機関の警告が誤りであることに望みを託すことになる。

マクガイア氏は、中共が依然として米国にとって最大の競争上の脅威とみなされ、AI分野で主導的な地位を維持することが米国にとって生死に関わる問題である限り、AI安全規制を支持する一方で、中国向け輸出規制に反対する立場は、論理的にもはや整合しないと指摘した。輸出規制を巡って便宜的な措置や妥協策を取る時代は終わったとした。

アモデイ氏も論考で、民主主義国が中国側と向き合う際には「決して甘い考えを持ってはならない」と記した。まず重要技術の供給を制限して中共との差を広げた上で、条件が整えば、双方が開発を減速させるための交渉を模索するという考えを示した。

同氏はさらに、三つの具体的な制限・抑制措置を提示した。中国への高性能AI半導体と半導体製造装置の販売を厳禁すること、モデルの「蒸留」を取り締まること、大規模言語モデルの中核となる重みが盗まれたり、ハッキングによって流出したりするのを防ぐことである。

論考は、これらの措置について、米国側がAI研究開発のペースを落とす機会に乗じて、中共が競争相手を追い越すことを防ぐ狙いがあるとしている。

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