中国に滞在する外国人の個人情報や行動履歴が、当局の監視システムによって広く記録されている実態が明らかになった。流出したデータからは、顔写真や移動履歴、人間関係までが把握されていることが確認されている。
この問題は、オランダのサイバーセキュリティ専門家で元記者のマーク・ホーグウェルフが、地方警察の内部システムに偶然アクセスできたことで発覚した。
システムにはログイン情報が入力された状態で公開されており、一般の利用者でも大量の個人データを閲覧できる状態だった。
データベースには、河北省張家口市に住む外国人700人以上の情報が記録され、全体ではおよそ1万2,000件に及んでいた。対象には外国人記者や企業関係者、留学生のほか、台湾や香港の関係者も含まれている。
ホーグウェルフはその中に、自分自身の顔写真と個人情報も見つけた。出入境管理の際に撮影された写真に加え、パスポート番号や中国で使用する携帯電話番号も記録されていたという。
顔認識とデータ統合で行動を追跡
調査によると、中国当局は顔認識技術と各種データを組み合わせ、外国人の行動をほぼリアルタイムで追跡している。
監視カメラの映像、ビザ情報、携帯電話のデータなどを統合し、移動経路や接触した人物、訪問先などを把握できる仕組みである。
さらに、複数の人物が同じ場所に映ると「関連人物」として自動的に結び付けられ、人間関係のネットワークも分析される。
収集される情報は幅広く、生年月日や職業、宗教のほか、医療記録にまで及ぶ。鉄道や航空機の座席情報、給油時の決済記録なども追跡対象となっている。
また、留学生については、大学の入口でカメラに記録された回数といった細かな行動履歴も含まれていた。
民間施設の利用情報も収集
データは警察だけでなく、民間施設からも集められているとみられる。
例えば、スキーリゾートの利用者リストには、現地で撮影された写真やパスポート番号が含まれていた。観光やレジャーの場面でも情報が収集されている可能性がある。
さらに、軽微な違反の記録も残されており、住所変更の届け出を怠ったとして1,000元(約2万円)の罰金を科された事例も確認されている。
外国人記者にも詳細な追跡記録
イギリス紙『デイリー・テレグラフ』の記者も、自身のデータが記録されていることを確認した。
その情報には顔写真や所属、連絡先に加え、「追跡可能」とする欄があり、国内のどこでカメラに捉えられたかが一覧で表示される仕組みになっていたという。
特定の交差点で何度検出されたかといった詳細な記録や、駅や商業施設での検出履歴も含まれていた。
中国では都市部から地方まで監視カメラが広く設置されており、ジムの利用や交通機関の手続きでも顔認証が使われている。このため、個人の行動を追跡できる大量のデータが日常的に蓄積されていると指摘されている。
日本人にも無関係ではない可能性
今回のデータには外国人全般が含まれており、日本人も対象となり得る。
観光や出張、留学などで中国を訪れる場合、移動や行動、交友関係が記録される可能性があるほか、民間施設の利用情報も収集される可能性がある。
専門家は、中国では監視技術が急速に社会全体に組み込まれており、個人情報の扱いについて各国とは異なる実態があると指摘している。
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