上海市内の生鮮市場で、精肉店に営業用の刃物を鎖で固定するよう求める動きがあったとする動画が、インターネット上で広がっている。ネット上では、新疆ウイグル自治区で続く刃物の実名管理を連想する声が出ている。一部の評論家は、刃物の管理が特定の地域にとどまらず、都市部の市民生活にも及び始めていると指摘している。
9月9日、上海市松江区の茸南農貿市場で精肉店を営む女性が動画を投稿した。女性は、市場側から営業で使うすべての刃物を鎖でつなぐよう求められたと説明した。
動画の中で女性は同業者に向け、「上海の皆さん、注意してください。これからはすべての刃物に鍵をかけなければならなくなりました」と話している。

SNSで拡散した映像には、市場の精肉台に置かれた包丁や骨切り包丁などが、金属製の鎖でつながれている様子が映っている。鎖の反対側は、作業台や店舗設備に固定されている。
動画に添えられた文面には、次のように記されていた。
「要請に従い、すべての刃物を鎖でつなぐこと。未実施の場合は是正を命じる。万一の事故が発生した場合、事業者が相応の責任を負う」
中国本土のネットユーザーの間では、上海でこうした措置が取られたことに驚きの声が出ている。「えっ、あの上海で?」「新疆方式が上海にも広がったのか」といった投稿のほか、措置を「盗難防止」と言い換えて皮肉る書き込みも見られた。
専門家が指摘する刃物固定措置の問題点
上海市閔行区に住む朱さんは取材に対し、次のように話した。
「私の住む地域では、包丁を鉄鎖でつなぐようなことはまだありません。ただ、一部の小規模な市場では、包丁をつないで使っていると聞きました。市場で誰かが簡単に包丁を手に取り、人を切りつけるのを防ぐためでしょう。市場は多くの市民が集まる場所ですから、そこで切りつけ事件が起きれば大事になります。地方では、殺傷事件や車を使った突発的な事件がしばしば起きています。中国共産党のせいで、この社会はすっかりおかしくなってしまいました」
上海のネットユーザーの一人は、「市場の刃物は、もともと使う店主が決まっている。今になって鎖でつなぐというのは、単なる盗難対策が目的ではないのは明らかだ」と投稿した。
時事評論家の彭鑫氏(仮名)は大紀元の取材に対し、市場の刃物は用途と使用場所が明確だと指摘した。その上で、市場管理側が営業者と刃物の使用状況を把握し、売り場で管理するほか、閉店後にまとめて保管すれば対応できると述べた。
さらに、包丁を1本ずつ鎖で固定し、事故が起きた場合に営業者へ責任を負わせる仕組みは、安全管理の責任を個々の商店に負わせるものだとの見方を示した。
彭氏は次のように話した。
「切りつけようとする人が自分の刃物を持っていれば、市場に入り、同じように事件を起こすことはできます。包丁を鎖でつなぐだけでは、社会の根本的な問題は解決しません。今、市民は不満を訴えたり、冤罪を訴えたりする場を失っています。もし百貨店で切りつけ事件が起きれば、影響はさらに大きくなるのではないでしょうか。新疆の大規模な治安維持政策をまねても、問題は解決しません。新疆では、精肉販売者が鉄格子で囲まれた区画内で営業し、客もその区画内に入って肉を買わなければならないような状況を見たことがあります。こうしたことが起きるのは中国本土だけです」
新疆で続く包丁の実名登録と個人情報刻印
上海の精肉店で刃物が鎖で固定されたとの情報を受け、新疆で長年続いてきた刃物管理の実態にも、あらためて関心が集まっている。
8月29日、新疆のネットユーザーが動画を投稿し、10か所以上を回った末、身分証を提示してようやく包丁1本を購入できたと説明した。
映像では、刃物販売コーナーが金網で囲まれ、扉には三つの鍵が取り付けられていた。投稿者によると、購入者は実名登録を済ませた後、身分証番号をレーザーで刃物本体に刻印しなければならないという。
これに先立つ7月18日には、別のネットユーザーが短編動画で、新疆で包丁を購入した際の体験を紹介した。投稿者によると、5、6軒の店を回ってようやく刃物を扱う店を見つけたという。
購入時には、身分証の提示、顔認証、個人情報の登録が必要で、投稿者は販売手続きの全体が録画されていたとしている。
新疆のネットユーザーの一人はコメント欄で、一部の店舗が包丁の販売を敬遠していると説明した。手続きに時間がかかるだけでなく、店側が購入者の情報を保管し、管理責任も負わなければならないためだという。
別のユーザーは、ネットで7インチの果物用ナイフ2本を購入したところ、警察署員が自宅を訪ね、事情を確認したと投稿した。
新疆では過去に、刃物の購入者情報を記録・管理する措置や、刃物に所持者の身分証番号を刻印する運用が報じられてきた。新疆ウイグル自治区政府が公表する規定には、一定の「管制器具」の製造・販売に関する届出・登録制度が定められている。
中国各地では以前から、刃物の購入時に実名登録を求める措置が取られてきたと報じられている。地域によっては、店頭での販売を制限し、通信販売に限定するケースもあるという。こうした措置は、ネット上で中国特有の過剰な治安管理だとして揶揄されてきた。
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