【内幕】中国の財政難で徴税・罰金強化 出国・ネット・住民統制も拡大

2026/09/01
更新: 2026/09/01

中国共産党(中共)当局は、地方財政の悪化を背景に税務調査、社会保険料の追徴、行政罰金を強化する一方、出国、陳情、インターネット上の言論、地域住民への管理も拡大している。関係者は、年末に向けて各地が「財源確保」と「社会安定維持」を同時に求められていると証言した。

中国では、出入国管理に関する国務院令第841号を9月15日に施行する予定で、国家・産業・技術安全を理由とする出国制限などを可能にする規定を含んでいる。

財源確保と社会安定を同時に迫られる地方政府

地方政府の内情に詳しい趙常武氏(仮名)は大紀元の取材に対し、各地では上層部の指示を受け、年末に向けて「二つの課題を同時に進める」方針が取られていると語った。

上級機関は地方政府に対し、財源を確保すると同時に、社会の安定維持にも取り組むよう求めているという。

趙氏は次のように述べた。

「地方政府は財政が厳しく、各地で借金を抱えている。企業側にも余力はない。中央政府は地方政府に対し、自力で財源を確保するよう求めており、税務調査や罰金もその手段の一つとなっている。

一方、当局が年末に向けて警戒しているのは、住民による抗議や集団行動である。陳情者や当局の方針に異議を唱える人々は、重点的な監視の対象となっている」

趙氏によると、河北省のインターネット情報担当部門も各県や市に通知を出し、管轄区域内の状況を適切に管理するよう求めた。インターネット上の言論や発信者への統制も、さらに強化する見通しであるという。

新出入国規定 国内消費維持のためか

中国では9月15日、国務院が定める出入国管理に関する新たな規定を施行し、住民の出国に対する制限を一段と厳しくする予定である。

事情に詳しい関係者は、出国制限の背景には、国民の支出を国内に向けさせ、国内消費を維持したいという経済的な狙いもあると指摘する。

「出国を制限するのは、国民の支出を国内消費に向けるためである。香港やマカオへの渡航まで制限しようとしている。表面的には鎖国へ向かっているようにも見えるが、実際には国民の資金を国内にとどめ、国内で消費させたいという意図がある。

当局は資金がなければ統治を維持できない。かつて鄧小平が改革開放を進めたのも、資金を得る必要があったからである」

税務調査・追徴・罰金は地方財政の穴埋めになるのか

匿名を条件に取材に応じた関係者は、地方政府で財政難が深刻化する中、税務調査や追徴、行政処分が収入を増やすための主要な手段の一つになっていると話した。

同氏によると、こうした動きは、他地域の企業を対象に摘発や罰金徴収を行う「遠洋漁業」から、地元の民営企業を直接対象にする「沿岸漁業」へと広がっているという。

「今はどの地方政府も財政難に直面している。以前は調査も処分も受けなかった企業や個人についても、過去の案件を掘り起こして再調査するようになっている。

当局が罰金を科そうとすれば、理由を見つけることは難しくない。地域によっては、納税記録をシステム上で変更し、納税漏れがあったとして、追加納税や延滞金を求めることもある。

税務当局の担当者がノルマを達成するために、こうした対応を取る場合もあるが、苦情を申し立てても取り合われない」

財新網は8月25日、地方財政と罰金・没収収入に関する研究を報じた。研究では、2015~23年までのデータを分析した結果、財政難が強まるほど、地方政府の罰金・没収収入への依存度が高まると指摘している。

また、財政上の圧力が一定の水準を超え、法執行を強化すると、罰金や没収による収入はさらに増えるとしている。

中国本土の経済学者、李先亮氏(仮名)は、不動産不況の長期化による土地関連収入の減少や、景気減速による税収基盤の縮小によって、地方政府の財政不足が広がっていると述べた。

「政府の手元資金が乏しくなり、公務員給与の支払いにも支障が出て、社会の安定維持に必要な費用すら確保できなくなると、罰金を徴収するための規定を設けるようになる。

当局は関連規定や執行手順を整えることで、罰金徴収を制度化している」

白紙運動の再燃を警戒 強まる陳情・ネット言論への統制

李氏は、指導部が財源確保と社会の安定維持を同時に進めようとしているのは、資金を集める一方で、社会の不満や抗議行動を抑えるためだと分析する。

当局は、2022年の「白紙運動」のような抗議活動が各地で再び起きることを警戒しているという。

李氏によると、厳格なゼロコロナ政策が解除されてから3年が経過したが、中国経済は当局が期待したような消費回復を実現していない。

不動産市場の低迷により、地方政府にとって重要な財源であった土地使用権の譲渡収入も大幅に減少し、財政収支が赤字となっている地域もある。

こうした状況を受け、当局は経済活動への管理を強めるとともに、住民への管理も強化しているという。

網格化管理で進む住民情報の収集と監視

中国当局が進める「グリッド管理(網格化管理)」も強化している。

グリッド管理とは、地域を細かな単位に分け、担当者が住民、賃貸住宅、他地域からの居住者などに関する情報を登録・管理する仕組みである。担当者は住民情報の確認や調査にも関わっている。

上海市民の王氏は、住宅団地では従来から他地域から来た人の登録が行われていたが、今年後半に入ってから調査の回数が増え、確認項目も細かくなったと語った。

「主に他地域から来た居住者を調べている。外地から来た人は登録が必要で、自宅に宿泊者がいる場合も届け出なければならず、顔認証まで求められる。

グリッド管理の担当者は、夫婦間で最近、争いが起きていないかなど、家庭内の状況まで尋ねてくる。以前は身分証番号や電話番号、誰が来たのか、何日滞在するのかといった登録が中心だった。

今は家庭内に問題があるかどうかまで把握しようとしている。すべての家庭が一つの管理網に組み込まれ、どの家庭にどのような事情があるのかを事前に把握しようとしているように感じる。調査は非常に細かく、背筋が寒くなる」

中共当局は従来、重要会議や全国人民代表大会、中国人民政治協商会議の開催期間など、当局が警戒を強める時期を中心に、社会の安定維持を強化してきた。

しかし今年は、こうした措置がより頻繁に取られているという。

最近では各地で、公安当局の関係者や警備員が住民の自宅を訪れ、見張りや尾行、外出の制限、携帯電話の監視、北京入りの阻止などを行う事例がみられる。

周玉