住宅は濁流にのみ込まれ、竜巻は街を襲った。
それでも、被災地にはなぜか「神をまつる祠」や「神の像」だけが、まるで何事もなかったかのように残っている。
中国では近年、洪水や竜巻の被災地で同じような光景が少なくとも3例確認され、SNSでも大きな話題となった。
最も新しい事例は、7月に広西チワン族自治区で発生した大洪水だ。豪雨で複数のダムが放流・決壊し、多くの村が濁流にのみ込まれ、街が壊滅するほどの甚大な被害となった。そんな中、「地の神様」をまつる小さな祠は倒壊したものの、崩れた建物の中で神の像だけは元の場所に無傷のまま残っていた。
同じ7月、湖北省黄岡市では猛烈な竜巻が市街地を襲い、住宅や工場が大きく損壊した。大型トラックさえ数十メートル動かされるほどの激しい風だった。ところが、被害の中心近くに建つ「龍王」をまつる祠だけは、屋根瓦や看板もそのまま残り、ほぼ無傷だった。周囲が壊滅的な被害を受ける中、その光景は「まるでそこだけ守られたようだ」と注目を集めた。

2023年、北京市房山区が大洪水に襲われた際も、周囲が泥と瓦礫に埋まり廃墟のようになった中、清の時代に建てられ、2007年に再建された龍王をまつる社だけが被害を免れた。

こうした事例が重なったことで、「なぜそこだけ残ったのか」とSNSでも大きな話題となった。
もちろん、建物の構造や地盤、風向き、水の流れなどによって被害に差が生じることは珍しくない。そのため、「偶然だ」「立地条件によるものではないか」と受け止める人もいる。
一方、中国では古くから、地の神様は地域を守り、龍王は雨や水をつかさどる神として信仰されてきた。そのため、「神が守ったのではないか」と受け止める声も少なくない。
偶然なのか、それとも意味のある出来事なのか。その答えは人それぞれだろう。
それでも、大災害の中で神をまつる祠だけが残る光景が繰り返し確認されていることは、多くの人に、天や自然への畏敬の念を改めて思い起こさせている。
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