日米両政府は、日本による総額5500億ドル(約84兆円)の対米投融資計画の第1弾として、総額360億ドル(約5.5兆円)規模の3事業を正式に決定した。トランプ米大統領が2026年2月17日、自身のSNSで発表した。
今回決定された第1弾は、米中西部オハイオ州でのガス火力発電事業、南部テキサス州での原油積み出し港の整備、南部ジョージア州の人工ダイヤモンド製造施設開発の3プロジェクト。ラトニック米商務長官によれば、オハイオ州のガス火力発電は9.2ギガワットと米国内最大規模となり、AIデータセンター向けの電力需要に対応する。また、テキサス州の原油積み出し港は年間200億〜300億ドル規模の取り扱いを見込み、ジョージア州の人工ダイヤ製造施設は米国内需要の全量を賄うことを目指すという。
背景:関税回避と巨額投資の取引
今回の巨額投資の背景には、トランプ政権が掲げる保護主義的な通商政策がある。日本政府は2025年夏、相互関税や自動車関税などのいわゆる「トランプ関税」の引き下げを求める見返りとして、2029年までの3年間で5500億ドルの対米投融資を実行することを米国側と約束していた。
トランプ氏は今回の発表に際し、「これらのプロジェクトの規模はとても大きく、関税なしには実現しえなかった」と述べ、関税をテコにした交渉の成果であることを強調した。
実施体制と今後の見通し
事業の実施にあたり、日米両政府は各事業に投資する特別目的事業体(SPV:Special Purpose Vehicle)を設立する。日本側からは国際協力銀行(JBIC:Japan Bank for International Cooperation)が資金を拠出し、日本貿易保険(NEXI:Nippon Export and Investment Insurance )の保証を得た上で民間銀行も融資を行う。対する米国側は、用地などを現物出資する枠組みだ。
今後の見通しについて、米ハドソン研究所ジャパンチェアー副部長のウィリアム・チョウ氏は「第1弾のプロジェクトは順調に進むだろう」と予測する。同氏は、日米両政府が産業需要と事業の実現可能性を重視して案件を選定している点を評価している。今後も日米の事務レベル協議や閣僚会談を経て、残る投資枠についても順次プロジェクトの具体化が進められる見通しである。
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