中国 替え歌童謡が描いたのは 笑えない中国の国際政治の現在地

習近平の「友だち探し」 そして誰もいなくなった中国外交

2026/01/25
更新: 2026/01/26

「探そう、探そう、友だちを(找啊找啊找朋友,找到一個『好朋友』)」

そんな無邪気なフレーズから始まる中国の有名な童謡をもとにした替え歌「習煮席找朋友」が、海外の中国語圏SNSで静かな人気を集めている。

この童謡は、中国では子どもなら誰もが歌ったことがある、あるいは一度は耳にしたことのある定番中の定番で、幼稚園や家庭、学校行事でも広く使われてきた。

その誰もが知るメロディーに乗せて登場する主役が、中国共産党(中共)党首の習近平だ。
歌の内容は単純で、友だちを探しては見つけ、見つけては別れる。その繰り返しである。

だが、別れ方が穏やかではない。
捕まる、逃げる、追放される、あるいは命を落とす。
児童向けの軽快な旋律に乗せて流れてくるのは、近年の国際ニュースそのものだ。

歌詞に登場する「友だち」は、事態が決定的に動く直前まで、中国と笑顔で並び、写真を撮り、握手を交わし、協力を誓っていた面々である。だがその直後、待っていたのは政権崩壊や拘束、失脚だった。

替え歌は、そうした出来事を一人ずつ呼び上げ、淡々と「さようなら」を告げていく。
感情的な非難も、長い説明もない。あるのは出来事の順番だけだ。
だからこそ、聞き手は思わず笑い、そして笑った直後に現実を突きつけられる。

歌の終盤で示されるオチも分かりやすい。
写真を撮り、酒を飲み、肩を組んだはずの友だちは、最後には一人も残らない。

コメント欄には「これは外交白書より分かりやすい」「歌い終わる頃に孤独が完成する」「子どもの歌が一番残酷」といった声が並ぶ。
童謡という誰もが知る形式を借りた風刺が、多くの共感を呼んだ形だ。

ここまで軽妙な替え歌として描かれてきた「友だち」たちは、いずれも単なる比喩ではない。
歌詞に盛り込まれた内容の多くは、近年実際に起きた国際的な大事件を下敷きにしている。

中でも象徴的なのが、ベネズエラ大統領のニコラス・マドゥロ氏をめぐる一件だ。
2026年1月3日未明、米軍はベネズエラの首都カラカスを急襲し、大統領府にいたマドゥロ氏夫妻を拘束。その後、同氏らは空路で米国へ移送された。

この拘束の数時間前、中共政権の特使団が大統領府を訪れ、マドゥロ氏と会談していた。双方は数百項目に及ぶ協力文書に署名し、マドゥロ氏は習近平氏を「兄貴分」と呼んで親密さを強調していたと報じられている。
しかしその直後、情勢は急変した。

特使団を率いていた邱小琪氏らは米軍の突入を目撃し、北京に対して「完全に想定外だった」と緊急報告を行ったとされる。その後、特使団の帰国について中国当局から公式な説明はなく、現在も動向は明らかになっていない。

 

2026年1月3日、ベネズエラのマドゥロ大統領(中央)がニューヨークにあるアメリカ麻薬取締局の本部に連行された。(AFP/X Account of Rapid Response 47)

 

同様の展開は、他の中国の友好国でも相次いだ。
2024年8月、バングラデシュのシェイク・ハシナ前首相は、強権的な鎮圧に対する大規模抗議を受けて辞任し、国外へ逃れた。辞任の前月には北京を訪れ、両国関係を全面的な戦略パートナーに格上げしたばかりだった。

同年12月には、シリアのバッシャール・アル=アサド前大統領も、国内抗議の激化を受けてロシアへ退避したとされる。アサド氏もまた、北京を訪問し、習近平氏と会談していた指導者の一人である。

さらに2024年7月と10月には、イスラム組織ハマスの最高幹部のイスマイル・ハニヤ政治局長と同じく最高幹部のヤヒヤ・シンワル氏が相次いで殺害された。ハマスの代表団は同年4月に北京を訪問しており、中国側が同組織と一定の接触を持っていたことも指摘されている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!