中国を代表する博物館・南京博物院は最近、大きな疑惑の渦中にある。
著名な収集家一族が寄贈した名画『江南春』が、館外の競売市場で売買されていたことが判明し、同館が文化財を不正に流出しているのではないかという疑念が一気に広がった。
この問題を香港の週刊誌『亞洲週刊』が追及し、ネット上でも検証が相次ぐ中で、中国共産党の高官クラスが特権を使って博物館の文化財を私物化しているのではないかとの疑惑に発展した。
当局はこれを警戒し、2025年12月30日には香港の週刊誌『亞洲週刊』のSNS「微博」の公式アカウントを封鎖した。中国のSNSでは関連する話題が検閲の対象となり、問題の全体像はいまだ明らかになっていない。
こうした背景の中で、南京博物院が展示する他の文化財にも注目が集まった。清の乾隆帝時代に作られた芙蓉石製の香炉について、2017年当時の写真では淡いピンク色だったものが、その後いつの間にかオレンジ色に見えるようになったとして、比較画像とともに疑問が投げかけられている。博物院の公式資料では「全体がやわらかなピンク色」と説明されてきたが、この変色について明確な説明は出ていない。
さらに、西漢時代の純金製彫像にも疑念の声が上がった。この彫像は、博物館を代表する目玉展示の一つだが、脚の一部に黒や緑の斑点が見えるとして、「純金製であれば展示中に劣化するのは不自然ではないか」「別の物と入れ替えられた可能性はないのか」といった指摘が相次いでいる。博物院側は、「収蔵品には長年の保存や展示による変化が生じる場合がある」と説明し、問題はないと主張している。
名画流出疑惑が解消されないまま、収蔵品の状態をめぐる疑念が次々と浮上している。中国を代表する博物館の管理体制そのものに対する不信は、いまも静かに広がり続けている。

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