中国で普及が進む無人の自動運転タクシー。これまでも数々の「おバカ運転」で世間を騒がせてきたが、またしても騒動を起こした。
今回の舞台は重慶市。8月6日夕方、百度(バイドゥ)が運営する無人タクシー「アポロゴー(Apollo Go)」が市内を走行中、約3メートルの施工坑に転落した。車内の女性客は、近隣の住民がはしごを掛けて救出し、幸いけがはなかった。現場には囲いと警告表示が設置されていたにもかかわらず、この無人の自動運転タクシーは転落。付近の住民も「どうして落ちたのか謎だ」と首をかしげている。
(事故当時の様子)
事故後、同社は詳細な説明を避けつつ「累計1億キロの商業運行で責任事故はゼロ」と強調。しかしSNSでは「また『アホ大根(傻蘿蔔)』がやらかした」「もう笑えない」などの揶揄や批判が飛び交い、安全性への懸念が再燃している。

「アホ大根」という呼び名は、アポロゴーの中国名「蘿蔔快跑(直訳:早く走る大根)」にちなんだものだ。本来は親しみやすい響きを狙ったブランド名だったが、度重なる「おバカ運転」や迷惑行為から、中国のネット民は愛と憎しみを込めてそう呼ぶようになった。
こうした評判の背景には、過去の数々のトラブルがある。「蘿蔔快跑」の普及が最も進む武漢市では、無人タクシー同士が出会い頭で睨み合い、互いに譲らず大渋滞を引き起こすこともしばしば。呼び出された交通警察も、相手が「無人」では取り締まることができず、ただ立ち尽くすしかなかった。さらに、路上に落ちている袋を障害物と誤認して停止し続けた例や、「絶対に譲らない」運転で路線バスを停留所から追い出す事件、電動バイクとの衝突事故もある。
笑い話のようで笑えない「アホ大根」の暴走は、中国の自動運転の未来に重い課題を突きつけている。


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