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台湾史上最大の国会議員リコール投票 第一波はすべて不成立 頼総統「民意を尊重」

2025/07/28
更新: 2025/07/28

台湾史上最大規模となる立法委員(国会議員)リコールの第一波投票は、すべて不成立に終わった。中華民国総統の頼清徳氏は、7月26日の投開票当日にFacebookへ投稿し、すべての人が投票結果を尊重し、受け入れなければならないと述べた。
頼総統は、「社会にはさまざまな立場が存在していても、台湾の人々は引き続き合憲かつ合法的な方法で意見を表明し、決定を下すことができる。これこそが、民主的な台湾における最も貴重な点だ」と語った。

また、「選挙にもリコールにも結果が出るが、台湾の民主主義は、市民の繰り返しの参加によって、ますます柔軟かつ強固なものになっていくのだ」と強調した。台湾はさらに、「台湾は憲政制度を用いて内部の対立を解決する能力があり、競争ののちには民主精神によって団結することができる国である」ことを、世界に向けて証明しているとも述べた。

頼総統は最後に、「与野党を問わずすべての政党、そして社会のあらゆる立場の人々が区別なく、私たちの民主的で自由な憲政体制を守り続け、国家を共に守ることを願っている」と呼びかけた。

台湾史上最大のリコール

今回のリコール投票が「史上最大」と言われる理由は、同時に多数の立法委員がリコール対象となった前例のない規模感にある。具体的には、最大野党・国民党所属の合計31人(立法委員全体の約3割)が一度にリコール投票の対象となった点が最大の特徴である。これまでも地方首長や個別議員へのリコールはあったが、これほど多くの国会議員を同時に対象としたケースは台湾史上初である。また、市民団体による活発な署名活動も特徴で、法定署名数に達しリコール投票が実現した点でも「史上最大」となった。

リコール投票のスケジュール

今回のリコール投票は、複数回に分けて段階的に実施される形となっている。

第一波投票は2025年7月26日で、この日は国民党所属の24人がリコール対象となり、各選挙区で投票・即日開票が実施された。結果として全て不成立となった。

第二波投票は2025年8月23日で、この日はさらに国民党の立法委員7人を対象としたリコール投票が予定されている。

与党が立法院で過半数を握るためには、全113議席のうち57議席以上(半数超)が必要となる。現状では民進党(与党)が51議席、国民党52議席、民衆党8議席、無所属2議席という構成で、与党が野党に対抗するためには補欠選挙などで議席を増やすか、他党・無所属との連携が不可欠となっている。

リコールの背景

リコールの背景には、台湾の立法院(国会)で与党・民進党が過半数を失い、野党・国民党が多数派を占めているという政局のねじれがある。最大野党の国民党と、同じく野党の民衆党が連携したことで、立法院は「野党優位」となり、民進党は政府予算や重要法案で相次いで野党勢力の妨害や大幅修正を受けてきた。

特に2025年度中央政府予算で、防衛予算の削減や、家賃補助など市民生活への予算がカットされるなど、国民党・民衆党主導による決定が相次いだことで与党・市民の間に強い不満が広がった。これを背景に、与党を支持する市民団体が国民党議員の大量リコールを実行し、立法院の勢力バランスを再び与党有利に戻そうという動きが生まれた。

大紀元日本の速報記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。