政府は2025年3月25日、中国産の黒鉛電極が不当廉売(ダンピング)され、日本の国内産業に損害を与えているとして、4か月間にわたって95.2%の反ダンピング関税を課す政令を閣議決定した。
この措置は、財務省と経済産業省が同年2月28日に行った仮決定に基づくものである。両省によると、中国からの黒鉛電極の輸入価格は、日本国内での販売価格の約半分に過ぎず、明らかに不当な価格設定であったという。調査では、不当廉売率が104.61%に達していることが判明し、これをもとに関税率を設定した。
この問題は、2024年2月、国内メーカーであるSECカーボン、東海カーボン、日本カーボンの3社が、政府に申し立てを行ったことが発端である。政府は、同年4月から正式な調査に着手し、2025年2月には中間報告を公表していた。
また、関税・外国為替等審議会の分科会も3月12日付で、暫定課税措置は、適当であるとの答申を行っている。
黒鉛電極は、鉄スクラップを溶解する電気炉で使用される重要な工業製品であり、鉄鋼業をはじめとした産業基盤にとって不可欠な資材である。今回の措置により、日本国内の黒鉛電極産業の保護と、公正な競争環境の維持が期待されている。
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