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ウクライナ支援や防衛強化 EUの8千億ユーロの軍事費財源はどこから

2025/03/07
更新: 2025/03/07

安全保障情勢が厳しさを増す中、欧州連合(EU)は8千億ユーロの軍事費調達計画を発表し、防衛強化とウクライナ支援を宣言した。ドイツは財政の慣例を破り、軍事費支出を許可した。次期首相フリードリヒ・メルツ氏は、憲法改正で防衛・安全保障支出の制限を免除すると発表した。一方、フランスは富裕層への課税で軍事費を調達する意向を示し、軍需企業の株価が急騰した。

メルツ氏は3月4日夜の声明で、「脅威が増大しているという状況を踏まえ、我々は今すぐに国家と欧州大陸の防衛力を強化するための努力をしなければならないと認識している」と述べ、最近のアメリカ政府の姿勢を鑑みて、欧州は防衛を強化する必要があると訴えた。

報道によると、ドイツは9千億ユーロの投資計画を検討しており、そのうち4千億ユーロを軍事、5千億ユーロを交通やエネルギー、住宅などのインフラに充てる予定だ。

この計画はEUの主要加盟国に大きなプレッシャーを与えている。欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、加盟国の防衛投資を支援するために1500億ユーロを融資し、今後4年間追加で6500億ユーロの軍事費を予算制限なしで支出できる枠組みを発表した。

一方、フランスは「富裕層から軍へ」という方針を構想している。マクロン政権は、富裕層への増税で防衛支出を補填することを検討中だ。国内の財政赤字が急増し、借入コストが高騰する中、国債の利払いだけで防衛費に迫る勢いとなっている。

フランスの財務相は、多額の貯蓄を持つ人々は国防に貢献すべきだと述べている。

トランプ米大統領の「欧州離脱政策」により、EUは長期的に米国に依存することはできないと考えていると見られる。

これらのニュースは市場に影響を与え、ユーロ対ドルレートは瞬時に1.054ドルに上昇し、2022年12月以来の最高値を記録した。

一方、ドイツ国債先物は昨年6月以来の最安値に下落した。

市場は、この大規模な資金投入が欧州全体の経済を刺激すると見ている。

また、5日から欧州の大手軍需企業の株価が急騰し、フランスのタレス社、ドイツのラインメタル社、イタリアのレオナルド社、スウェーデンのサーブ社などの株価が2桁の伸びを示した。

欧州が独自で安全保障を担う決断を迫られている。

しかし、残された問題は、この巨額の軍事費が本当に欧州の安全を保障できるのか、それとも各国の財政赤字を悪化させるだけなのかが課題となっている。

欧州の未来は、依然として不確実性に満ちている。