2024年7月12日に掲載した記事を再掲載
ドイツ政府と主要通信事業者は、2029年までに5Gネットワークから中国製部品を全て排除する方針であることが、7月10日付けの「南ドイツ新聞(Sueddeutsche Zeitung)」が報じた内容によって明らかになった。
報道によれば、ドイツ政府と通信事業者の間で原則的な合意が成立しており、2026年までにデータセンターのコアネットワークから、ファーウェイ(Huawei)や中興通訊(ZTE)など中国企業が製造する部品を段階的に排除する計画だ。事情通の話によれば、最終的な合意はまだ署名されていないものの、この計画には2029年までに全ての中国製アンテナ、伝送ライン、タワー部品を選別排除する第2段階が含まれている。
この動きは安全保障上の懸念から進められており、ドイツのナンシー・フェーザー内務大臣とフォルカー・ヴィッシング交通大臣が、5Gモバイルネットワークに対する厳格な安全基準を設けるための会談を計画していると、ロイター通信が5月に報じている。
ドイツ政府は、2026年までに5Gネットワークから全ての中国製部品を排除する方針から一部後退した形だが、それでも依然として中国製部品の使用を大幅に削減する意図を持っている。これは、昨年7月に打ち出された、デカップリング(供給網の分離)ではなく、デリスキング(リスク軽減)を目指す対中国戦略に基づいている。
西側諸国は、ファーウェイやZTEなどの中国企業が5G機器に「バックドア」を仕込み、政府の指示に従ってデータを盗む可能性があるとして懸念を示してきた。これに対し、アメリカ、イギリス、ニュージーランド、オーストラリアなどが5G事業からこれらの企業を排除している。
一方、中国はこれらの動きに対して根拠がないと反発しており、自国企業を国家安全保障を理由に排除することを批判している。
ドイツのこの方針は、ウクライナ戦争勃発後のロシア産エネルギーへの依存問題を教訓に、特定国への依存を避けるためのものである。
ドイツの5Gネットワークからの中国製部品排除は、通信インフラの安全性を確保し、国家の重要な基盤を保護するための重要なステップとなる。今後もこの動きが進展し、他の欧州諸国にも影響を与える可能性がある。
今後の展開に注目が集まる中、ドイツ政府と通信事業者がどのように協力し、計画を実現していくのかが焦点となる。
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