インド、中印国境の係争地に発電所を建設予定

2024/07/10
更新: 2024/07/12

インド政府の消息筋によると、インドは10億米ドルを投じて、北東部のヒマラヤ地域であるアルナーチャル・プラデーシュ州(Arunachal Pradesh)に12か所の水力発電所を建設する計画を加速している。この地域は中国との主権争いが続いている場所である。

ロイター通信が7月9日に報じたところによると、消息筋は、インド連邦財務省が最近、北東部地域の各水力発電所プロジェクトに対し、75億ルピー(約145億円)の財政支援を提供することを承認したと述べている。この計画により、アルナーチャル・プラデーシュ州の12の水力発電プロジェクトは約900億ルピー(約1650億円)の資金を得る可能性がある。

この計画は北東部の各州を支援し、彼らが主導するプロジェクトに対して、株式資金を提供することを目的としている。州政府の関与は通常、規制承認の迅速化、地元住民の再配置、電力共有の交渉を助けることになっている。

消息筋によると、この水力発電計画は、モディ政権が7月23日に発表する予定の2024〜2025年連邦予算に盛り込まれる見込みだという。

昨年8月、インド政府は国営企業NHPC(国営水力発電公社)、SJVNL、およびNEEPCO(北東電力公社)に対し、11.5ギガワットの発電所を建設する契約を授与した。この投資は110億ドルに上り、国境地域のインフラを発展させるための広範なプロジェクトの一環である。

これらの発電所は当初、民間企業によって取得されていたが、さまざまな理由で工事が進まなかった。

過去20年間、インドで建設された水力発電所の発電量は15ギガワットに満たず、新たに設置された石炭やその他の再生可能エネルギーの発電量はその約10倍にも達している。

中印両国間には2500キロメートルに及ぶ未確定の国境が存在し、1962年にはこの問題を巡って戦争が勃発している。

インドはアルナーチャル・プラデーシュ州を自国の不可分の一部と主張しているが、中国はこれを南チベット地域の一部と見なし、インドによるいかなるインフラ建設にも反対している。ロイター通信の分析によると、インドの国境地域での発電所建設計画は、中印関係の緊張をさらに高める可能性があるとのことだ。

報道によれば、中国政府はヤルツァンポ川にメドック水力発電所を建設する計画があり、その発電能力は三峡ダムをはるかに上回るとされている。ヤルツァンポ川はインドのブラマプトラ川(Brahmaputra River)の上流に位置し、チベットからインドのアルナーチャル・プラデーシュ州へと流れ込んでいる。インドは、中国によるこの地域でのダム建設が洪水を引き起こすか、水資源の不足を招く可能性を懸念している。

2020年、ヒマラヤ山脈の西部で中印両国の軍隊が衝突し、20人のインド兵と少なくとも4人の中国兵が死亡した。それ以来、両国は国境地域のインフラ改善に努めている。

先週、インド外相のスブラマニヤム・ジャイシャンカル(Subrahmanyam Jaishankar)氏は、カザフスタンで開催された上海協力機構(SCO)首脳会議の際に、中国の王毅外相と会談し、両国は「早期に中印国境問題の協議と調整メカニズム会議を開催する」ことに同意した。

吳香蓮