セカンド・トーマス礁の争端が地域紛争の引き金か=フィリピン大使

2024/06/27
更新: 2024/06/27

フィリピン駐米大使のホセ・マヌエル・ロムアルデス氏は、南シナ海セカンド・トーマス礁を巡る北京との争端が地域紛争を引き起こす可能性があり、インド太平洋地域の国々を巻き込み、さらには核戦争の懸念をもたらす可能性があると警告している。

ロムアルデス大使は、フィリピンと中国(中国共産党)との間のセカンド・トーマス礁の争端が非常に緊迫した状況に達していると述べた。ここ数か月、中共の沿岸警備隊がフィリピン船の「シエラ・マドレ号(BRP Sierra Madre)」への補給を暴力的に妨害している。

ロムアルデス大使は6月25日、英フィナンシャル・タイムズに対し「これは非常に危険な時期である」と述べ、「何かが起これば、アジア全体が巻き込まれる可能性がある」と付け加えた。大使は第一次世界大戦を引き合いに出し、大公フランツ・フェルディナンドの暗殺が戦争の引き金になったと述べた。

中共が南シナ海でますます攻撃的になり、高圧水砲の発射、危険な船体衝突、斧や長刀の振りかざしなどでフィリピン海軍を妨害している中、セカンド・トーマス礁はインド太平洋地域で最も危険なホットスポットとなっている。

アメリカは北京に対し、1951年の米比相互防衛条約がこの船とその乗組員にも適用されると何度も警告している。

1999年、フィリピンは主権を主張するため、「シエラ・マドレ号」をセカンド・トーマス礁に座礁させ、その船上に監視所を設置した。中国はこの海域に対して主権を主張しているが、2016年の国際裁判所はその主張を却下した。

フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は最近、フィリピン軍人が殺害されれば、中国が「レッドライン」を越えたと見なすと述べた。

ロムアルデス大使は、「これは一種の比喩であるが、そういった状況が発生する可能性がある」と説明した。

同大使はまた、北京がセカンド・トーマス礁での行動を通じてアメリカを試していると警告し、米比相互防衛条約を軽視しないよう呼びかけた。大使は条約の発動に関する詳細を明かさなかったが、両国の同盟国が選択肢を協議していると述べた。

アメリカはインド太平洋地域での同盟を強化しており、フィリピンは昨年、アメリカ軍が新たに4つの基地に進駐することを許可した。ロムアルデス大使は、これらの基地への進駐はフィリピンの防衛戦略を強化するためであり、攻撃目的ではないと述べた。また、戦時中にはアメリカ軍がこれらの基地を使用することを許可する可能性があると述べた。

「もし我々の国防部門が、戦争が我々に影響を及ぼすと判断すれば、我々はこれらの基地を使用して台湾を防衛することに同意する可能性がある」とフィナンシャル・タイムズに語った。

「我々はそのような事態が起こらないことを望んでいるが、明らかにフィリピンのような国はアジアの舞台で重要な役割を果たすことになるだろう」と付け加えた。

林燕