オセアニア 携帯やPCに潜む邪悪な連中

中共、人気アプリを利用し、外国でプロパガンダ、人心をコントロール

2024/05/23
更新: 2024/05/23

豪州のシンクタンクが、この5月に発表した報告書によれば、中国共産党(中共)は世界中で人気のあるアプリを利用して外国人ユーザーのデータを集め、海外でのプロパガンダ戦略を強化し、世界の情報環境を支配下に置こうとしているという。 

中共は、海外での影響力を確実に増しており、世論をはじめとする多岐にわたる分野で支配力を強化している。 

最近、豪州戦略政策研究所(ASPI)が公表した「中国特色のある真実と現実(Truth and reality with Chinese characteristics)」と題された報告書では、中共が人気の中国製アプリ、ゲーム、オンラインプラットフォームを通じて外国ユーザーのデータを収集し、彼らの嗜好、行動パターン、意思決定プロセスを詳細に分析することで、海外でのプロパガンダ活動をより効果的に行っていると指摘している。 

さらに、最新の報告によると、中共の宣伝部門の責任者が、中国のテクノロジー企業と密接に協力し、これらの企業に対して政府や警察機関とのデータ共有を要請している実態が明らかにされている。その事例の一つとして、人気のショッピングアプリTemuの母体である「拼多多」が挙げられている。 

報告書を執筆したサマンサ・ホフマン氏は、豪州放送協会のインタビューで、拼多多が運営する海外版アプリTemuを例に出し、中共がユーザーの好みを分析し、場合によってはその情報を悪用して個人の趣味や嗜好を探るリスクがあると指摘した。 

報告書によれば、多くの中国のテクノロジー企業やゲーム開発者が、中共からの補助金を受け取っており、世界市場への進出を図る過程で、「中共文化のソフトパワー」を広めるという役割を果たしていることが示されている。 

米国に住む政治評論家の藍述氏によると、「中共は国内の経済問題を克服するために、海外展開を進めていることが見て取れる。これは、習近平が2015年に打ち出した『サイバースペース運命共同体』の理念に端を発し、習近平自身が国際舞台で何度も強調している。しかし、これら立派な理念の裏には、世界への影響力拡大を通じて経済的な課題を解決しようとする中共の狙いが、隠されている」と述べている。 

報告書では、中共がAIインターネットモバイルゲーム没入型技術といった先端技術分野への国家投資を進め、国内外の情報環境を構築し、管理し、制御することで、世界の情報エコシステムにおける影響力を増していると指摘している。 

藍氏はさらに、「中共は西洋諸国とのイデオロギーにおいて対立しているものの、その対立を通じてできる限り迅速に、多くのものを獲得しようとしている。このプロセス全体は、中共が西側社会に浸透し、最終的にはその地位に取って代わることを目指している。世界を支配し、『人類運命共同体』を実現することが、彼らの具体的な戦略だ」と述べている。 

この報告書では、1000を超える中共の公式機関や中国企業、特に国営企業とのつながりを詳述しており、中共の戦略が、メディアの管理からデータの管理へと変化していることを明らかにしている。

さらに、報告書は政府に対して、技術系企業への圧力を強め、ユーザーデータの利用監視を厳しくすることを勧めている。また、中共が支配するプロパガンダ組織や、それに関連する団体については、外国代理人登録法に従って、登録を義務付けるべきだと提案している。