米国の上下両院からなる超党派議員団50人は2日、メリック・ガーランド司法長官に書簡を送り、中国共産党(中共)と結びつきのある米国内の違法大麻栽培事業に関する情報提供を求めた。米地域社会と国家安全保障上の脅威になっていると指摘した。
書簡はピート・セッションズ議員やジャレッド・ゴールデン議員が率いる議員団が提出した。
「中国共産党と繋がりのある中国人が全国で何千もの違法大麻農園を経営していると言われている。こうした違法大麻栽培は、公共の安全、人権、国家安全保障、そしてわが国の大麻中毒の危機に直接的な脅威をもたらしている」と懸念を示した。
米国では医療や娯楽用大麻の使用が合法化された州もあるが、栽培するには州の規制機関などの許可が必要だ。議員たちによれば、カリフォルニア州、コロラド州、マサチューセッツ州、ミシガン州、ネバダ州、オクラホマ州、オレゴン州、ワシントン州など、多くの州で中国人による違法大麻栽培事業が発見されているという。
「場合によっては、栽培業者は人身売買、強制労働、麻薬取引、暴力犯罪にも関与している。これらの違法農園は、大麻を合法化している州に多く、違法な栽培業者はこうした地域社会に紛れ込んでいる」と危機感をあらわにした。
2023年8月に流出した国土安全保障省の文書によると、オクラホマ州では2千を超える大麻農園が中国と繋がりがあるほか、メイン州で中国と関連が疑われる270の違法大麻栽培事業が、43億ドル以上の収益を上げている可能性があるという。
書簡は「専門家によれば、中国共産党が米全土で違法な大麻栽培を直接支援していることを示す、かなりの証拠がある。しかし、州の規制機関や法執行機関は、中国共産党が支援する可能性のある栽培事業に対処できない」と訴えた。
議員らは、ガーランド司法長官に、23日までに▽米国内の中共が関与する大麻農園の数や、▽各州の大麻合法化が「中共が関与する大麻農園の拡散に影響を与えたかどうか」などの問いに答えるよう求めている。
28トンの麻薬密売も
米連邦陪審は1月18日、オクラホマ州から約28トンの大麻を東海岸に向けて違法に輸送したとして、中国人2人に有罪判決を言い渡した。州によれば、被告らはオクラホマ医療大麻機関によって認可された大麻栽培農園を管理していたが、そこで栽培された大麻を密売していたという。
オクラホマ麻薬局長は、違法な大麻栽培や密売について「犯罪者たちは大麻を闇市場で取引し、マネーロンダリング(資金洗浄)し、何百万ドル、何千万ドルという資金を(中国などの)共産主義国家に送り込んでいる」と危機感を示した。
下院国土安全保障委員会の委員長を務めるマーク・グリーン議員らも先月、国土安全保障省と麻薬取締局に宛てた書簡の中で、中国人が運営する全米の違法大麻農園は「多国籍犯罪組織と連携している」として、情報提供と説明を求めた。
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