アメリカ政治 この命令は、民主党の下院議員が提起した訴訟に応じたものである

「誰もが誇れる場所に」トランプ主導の国立芸術センター復活劇 オバマ派判事が差し止め

2026/05/30
更新: 2026/05/30

米連邦地裁の判事は5月29日、ジョン・F・ケネディ・センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツ(ケネディ・センター)からトランプ大統領の名前を削除するよう命じ、さらに改修を理由とした同施設の2年間の閉鎖計画を差し止めた。

ワシントンD.C.のクリストファー・R・クーパー判事は、閉鎖を一時的に停止し、名称変更を阻止する命令を下した。

クーパー判事は、「ケネディ・センターの組織法は、同センターがケネディ大統領にちなんで命名されるべきであることを極めて明確に定めている。理事会の独断的な決定に基づいて、他のいかなる正式名称や公的な記念碑を冠することはできない」と述べた。

理事会の義務と権限

判事によると、連邦議会は同センターをスミソニアン学術協会内の「局」として組織し、評議員会(理事会)によって運営されるよう定めたという。

理事会には、プログラム運営の義務、ケネディの遺産を称える「記念義務」、そして一般的な維持管理の義務を含む、いくつかの任務が課されていると判事は説明した。

これらの義務を果たすため、議会は理事会に対し、「契約の交渉、予算の策定、職員の雇用、寄付の勧誘および受領、財産の移転、従業員との交渉、保険の調達、年次報告書の発行など、理事会が通常行う種類のこと」を実行する権限を付与した。

受託者責任の違反

同センターの理事会が閉鎖を議決したことは受託者責任(Fiduciary Duty:信頼される立場にある者が、相手方に対して負う忠実義務、注意義務、および誠実義務のこと)に違反している、という訴訟側の主張について、判事は「勝訴の可能性が高い」との見解を示した。

クーパー判事は、「裁判所に提出された予備的な事実記録によると、トランプ大統領の閉鎖発表を承認するにあたり、理事会はセンターに対する全般的な責任を果たすことを怠っていたことが明らかである」と述べた。

一方で判事は、今回の差し止め命令(インジャンクション)によって、センターが計画しており「痛切に必要とされている」大規模修繕工事を進めることが妨げられるわけではないとした。また、理事が「センターに対する複数の義務を、慎重な方法で自主的に天秤にかけた上で、改めてこの(閉鎖の)決定に至る」のであれば、センターを閉鎖することを禁止するものでもないと付け加えた。

「議会がケネディ・センターにその名を与えたのであり、それを変更できるのは議会だけである」と判事は述べた。

訴訟の背景とトランプ氏の反発

今回の新たな裁定は、ジョイス・ビーティ下院議員(民主党、オハイオ州選出)が2025年12月に起こした訴訟を受けたものである。ビーティ議員は、同センターの名称を「ドナルド・J・トランプ&ジョン・F・ケネディ・センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツ」へと変更したことを巡り、トランプ氏とケネディ・センター理事会を提訴していた。なお、ビーティ氏は議会枠のメンバーとして同センターの理事を兼務している。

その数日前、ケネディ・センターの理事会は、施設名を「トランプ・ケネディ・センター」へと変更することを満場一致で議決していた。同日、建物の外壁には新しい文字が設置され、デジタル上のブランド刷新も行われた。

トランプ氏はSNS上でこの裁定を批判した。さらに同氏は、センターの直接的な管理権を議会に与えるよう、議会と協力していく方針を示唆した。

トランプ氏は「Truth Social」への投稿で、クーパー判事が民主党のバラク・オバマ大統領によって任命されたことを指摘した上で、「同判事や急進左派は、トランプ大統領がセンターを誰もが誇りに思えるような場所に変革する(私がこれまでの人生で、多くの事例でそうしてきたように)のを見るくらいなら、(センターが)消滅する方を望んでいるのだ」と付け加えた。

この「消滅しかけているパフォーミング・アーツ・センター」を救うため、「我々は、この破綻しかけている機関を議会へと返還し、議会がその扱いを決定できるようにすべく、議会と協力していくつもりである」とした。

大統領はさらに、「私は商務省に対し、この機関の完全な移管を可能にするため、議会と必要な調整を行うよう指示した。これにより、運営、維持、管理の責任を議会に委ねる」と述べた。

エポックタイムズはコメントを求めてクーパー判事の裁判官室に連絡を取ったが、公開までに返答は得られなかった。

マシュー・ヴァダムは、受賞歴のある調査ジャーナリストです。