「中共に立ち向かう民衆」が増加 相次ぐ反抗事件は「ドミノ現象をよぶ」=専門家

2024/01/25
更新: 2024/01/25

今年に入ってから、貴州、江西、北京など、中国では中国共産党を恐れなくなった民衆が、公然とその暴政に反旗を翻す事件が相次いでいる。

「中国各地で起きている反抗事件には、ドミノ現象をもたらす効果がある。それが急速に広がれば、中共は手に負えないだろう」と専門家は分析する。

貴州:ミャオ族の反乱 警察官、数百人を生け捕りに

今月9日、貴州省の黔西南プイ族ミャオ族自治州安竜県にある少数民族のミャオ族(苗族)が住む村で、当局者に対する「反乱」が起きた。

直接の原因は、古くから土葬の伝統をもつミャオ族に対して、中共当局が「遺体は火葬し、その遺骨や遺灰は指定する共同墓地に埋葬せよ」と命令したことにある。

つまり、地元政府は財政収入を増やすため、ミャオ族の村民に「墓地を買わせる政策」を打ち出したのだ。もちろん、値段は安くない。

金銭だけの問題ではなく、先祖から受け継いだ葬儀の伝統を守るという理由もある。ミャオ族の村人は、現地政府からの要求を固く拒んだ。その結果として、激しい衝突に至った。

中共当局はこの日、未明から地元政府はSWAT(特殊武装チーム)を含む、武装警察、政府職員など数百人を動員して村へ強行突入して遺灰を奪い取ろうとした。村民たちは、亡くなった家族や同じ村民の遺灰を守るため、中共傘下の警官隊に立ち向かったのだ。

村人たちは総がかりで、石やレンガ、棒など、使えるものは何でも武器にして激しく闘った。この意外な事態に直面すると、怖気づいて逃げ出したのは警察側であった。

村の全ての出入り口は、警官が逃げられないよう、村人によって封鎖されていた。警察が村に乗り込んできたパトカーを含む警察車両は全て破壊され、使用不能になっていた。

逃げ道が塞がれ、逃げる「足」も失った警察官たちは、怒った村人たちに完全に取り囲まれた。

都市部では横暴を極める中共の警官たちも、ここでは全く無力であった。警察の特殊部隊でさえ刺又(さすまた)や盾を捨て、もはや両手を合わせて命乞いをするだけの「捕虜」となるしかなかったのである。

それは、勇気あるミャオ族の村民による「完全勝利」であった。なお、村民は激しく闘い、パトカーなどは破壊したが、警官の命を奪うことはしていない。

2024年1月9日、貴州省の黔西南プイ族ミャオ族自治州安竜県にある少数民族のミャオ族(苗族)が住む村で、当局者に対する「反乱」が起きた。画像は、事件当時の動画よりスクリーンショット・合成。

ニュース詳細:「中共に勝利!」ミャオ族の誇りを守った闘い 警察官、数百人を生け捕りに=中国 貴州(こちらをクリック

北京:法律の専門家に叱責され、退散する警官

今月14日、ある警察官が、北京大学の法学院の教授の夕食会にいきなり入ってきて、教授の1人との「単独での話し合い」を求めた。

ところが、その警察官は、室内にいた他の教授たちから叱責され、法律論でも論破され、這う這うの体でその場を立ち去ることになった。その場面を映した動画がネットに流出し、物議を醸している。(動画はこちらをクリック)

この警官に、どんな目的があってここに来たかは分からない。ともかく「北京大学の法学教授の集まり」に1人で踏み込んでいったのは、警官にしてみれば「無謀」であったようだ。

動画のなかで、この警察官は、自分にカメラを向ける教授たちに向かって「動画撮影は構わないが、それをネットに投稿するのはダメだ」と言った。

すると、居並ぶ法学の教授たちから「ネットに投稿しないとは約束できない。それは、あなたが何をするかによる」「我われは皆、法律の専門家だ」などと猛反撃を食らって、若い警官は絶句していた。

また、そこにいた教授の1人との「単独での話し合い」という警察の要求に対し、他の教授たちは「君は何の権限があって、そんな要求をするのか」「書類を見せろ」「協力はできないね」と言い、警察に指名された教授も「あなたとは話さないよ」と拒否した。

とても適わないとみた若い警官は、スマホで自分の部署に連絡した後、すごすごと退散した。

(居並ぶ教授から「我われは皆、法律の専門家だ」などと猛反撃を食らって、若い警官は絶句していた)

北京:「電動三輪」で天安門広場に突入

北京市では今年1月1日から、電動三輪車(日本でいう、昭和期のオート三輪のような小型の電動車)の市内への乗り入れを禁止した。それとともに、北京の当局は、宅配用の車も含む全ての電動三輪車を強制的に回収している。

この電動三輪車の禁止令は、子供の送り迎えや病院通いする高齢者に大きな不便をもたらしている。

当局の政策に不満をもつ高齢の男性がいた。この大爺(おじいさん)は1月13日の夜、あえて禁じられた電動三輪車に乗って、なんと天安門広場に突入したのだ。慌てふためく警察に取り押さえられるまで、広場のなかを猛スピードで乗り回した。

「三輪車で暴走するおじいさん」を取り押さえようと、何台ものパトカーが出動して取り囲んだ。しかし、その様子を眺めていた周囲の民衆からは、おじいさんの勇気を称えて「頑張れ!」といった支持の声が飛んだ。

動画はそこで終わっている。おじいさんがその後、どうなったかは分からない。

もはや権力を恐れないこの大爺(おじいさん)は、後にネット上で「天安門勇士」の称号を得ている。

(北京市内への乗り入れが禁止されている電動三輪車で天安門広場に突っ込んだのは、高齢の男性だった)

中共への反抗は「ドミノ現象を呼ぶ」

以上挙げたのは3例にすぎないが、中国各地では毎日のように「民衆による、中共当局への反抗」が起きている。

中共当局が厳しいネット統制を敷いているため、外部に知られるのはごく一部、まさに氷山の一角でしかない。

こうした市民による抗議に対して、独立系コラムニストの諸葛明陽氏は「新年が始まってから1か月も経たないうちに、中国では、当局の暴政に反対する市民の抗議事件が相次いだ。これは大きな変化だ」と指摘する。

「従来、民衆は心の中に不満を溜め込み、なかなか声を上げられなかった。しかし、今や状況は変わりつつある。そうしたことからも、中共の衰退は明らかになっている。中国各地で起きている中共への反抗は、ドミノ現象をよぶ効果がある。それが急速に広がれば、中共は手に負えないだろう」と諸葛明陽氏は分析した。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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