進まぬ救援 甘粛省地震被災者に寒波が追い打ち 「救援物資も受け取れない」

2023/12/22
更新: 2023/12/22

中国甘粛省で発生したマグニチュード6.2の地震で1千人以上の死傷者が出ている状況の中、中国全土で記録的な寒波まで襲い、被災地の住民たちの苦しみが続いている。

被災地の住民たちは「政府からこれといった救援物資が届かない。さらに強烈な寒さまで襲いかかり、地震で家を失った住民は大きな苦痛を強いられている」と口をそろえる。

また、一部の住民は「中共(中国共産党)政府が予算不足を理由に被災者を事実上放置している。救援物資はおろか、道路に積もった雪すら取り除かない」と声を上げた。

中国気象局によると、19日から中国全域に強風、大雪などが続き、北京と河南省鄭州市などでは最低気温がマイナス16度まで下がり、「12月の観測史上歴代最低気温」を記録した。今回の寒波は今月26~27日にピークに達すると予想される。

北京に20年以上住んでいるという住民の黄さんは、エポックタイムズに「今年の冬が一番寒い気がする。北京にこれほど多くの雪が降ったことはほとんどなかった」と言った。

別の住民の陳さんは「気温が低く、風も強くて耐えられないほどだ」と話し、「20年以上このような大雪は見たことがない。道路が真っ白に凍っている」と話した。

その上で「政府がお金がないという理由で都市環境美化員に賃金を払わず、これに反発した美化員たちは仕事を拒否している」とし、「このため、除雪作業がうまく進んでいない。都市が雪と氷で覆われ、非常に混乱している」と付け加えた。

米国在住の経済学者である李氏は、エポックタイムズのインタビューで「中国北部地方の状況はさらに深刻だ」とし、「地方政府が財政難に苦しんでいるため、除雪作業が行われていない」と話した。

寒波に地震被害まで

12月18日、中国甘粛省を襲った地震により、少なくとも131人が死亡し、900人以上が負傷した。 また、甘粛省だけで1万4900棟以上の建物が崩壊し、約14万人の被災者が発生したと集計された。

甘粛省地震救援本部は、地震発生からわずか15時間後「地震被害地域の救助作業はほとんど終了した」とし、「今後は負傷者治療、被災者支援、被害復旧などに集中する」と発表した。

また、「住民の安全を確保するため、持続的な救援活動を展開する」と明らかにした。

しかし、地震被害地域では別の声が出た。住民のチョンさんはエポックタイムズのインタビューで「私たちは実質的に救助と救援を受けられなかった」と訴えている。

その上で「家が倒壊し、家の前にテントを張って仮設で暮らしている。焚き火を焚いて、寒さの中で辛うじて耐えている」と話した。

Alex Wu
エポックタイムズの在米ライター。専門は中国社会、中国文化、人権、国際関係。