12月4日、江西省高安市の「城管(都市管理者)」が飲酒後に、職務管轄外である「交通違反車両の検問」を行い、市民から取り上げた罰金を着服したことがわかった。
「城管」は制服を着た暴力団
中国には「城管(城市管理)」という公的な組織がある。警察や公安が担当する職務とは別に、無許可での路上販売などの取り締まりを、主な任務としている。
しかし「城管」の実態はというと、町のゴロツキを雇って制服を着せたような連中であり、非常に威圧的で、その「公務」は暴力そのものである。
さらには職務にかこつけて、庶民が商売する売り物をごっそり奪い取っていく強盗まがいのことも平気でする。その横暴なふるまいから、市民の反感や恨みを買うことも多い。
そのような「城管」は、いまや中国では「制服を着た暴力団」の代名詞となっている。
最近では、広西省の「城管」が路上販売者を刃物で脅して殴打、恐喝した事件が起きたばかりだ。
それに続き、今回は江西省の「城管」が飲酒後に職務管轄外の「違反車両の検問」を行ったばかりか、そこで市民から取り上げた罰金を着服していたことが明るみに出た。
罰金を「着服」する「酔っ払いの城管」
このほど、ある男性市民が、制服を着た酔っ払いの「城管」を撮影した動画がネットに流出した。12月4日午後3時過ぎ、この市民は城管たちに止められ「大型トラックで町へ不法進入した」ことを理由に、100元(約2千円)の罰金切符を切られたのだ。
男性市民は「城管」に対して、「あんた、酒の臭いがぷんぷんするよ。自分が公務中に飲酒しておきながら、他人の罰金切符を切るのか」と非難した。
するとその城管は「ビールを1杯飲んだだけで飲酒になるのか」と反論。なんとこの城管は、居直ったように飲酒した事実を認めながら、罰金を要求しているのだ。
言うまでもなく、車両の検問や交通違反の取り締まりは、城管ではなく、交通警察の職務である。
そのため、男性市民は「あんたたち、法執行証はあるのか? どんな権限があって罰金をとるのだ。しかも飲酒しているじゃないか」と問い詰めた。
動画はここで終わったが、この事件を取り上げた中国メディアによると、横暴な「城管」たちは法執行証を提示せずに罰金切符を切り「ここで金を払わないと、この先へ行かせない」と脅したという。
まったく「運悪く捕まった」としか言いようがない。しかしこの市民は、急ぎの仕事があったため、不本意ながら罰金を支払った。
なんとこの「城管」が、ここに金を払えと提示した送金受け取り用のQRコードは「個人用」のものだった。つまり罰金は、この城管に着服されたのだ。
(2023年12月4日、飲酒後に管轄外の車両の検問を行い、市民から取り上げた罰金を着服する「城管」)
このトラックの運転者に、本当に交通違反があったかどうか、動画からは確認できない。仮に、違反があったとしても、この「城管」が、市民から徴収した罰金を自分の懐に入れたことは確かである。
世論の圧力を受けて、高安市は翌日、「捜査チームを立ち上げて調査した結果、事件に関わった丁という名の職員が、規定に違反して法執行したことがわかった。丁の職務停止を命じた」と公表した。
しかし世論は、当局の処分結果に対して「軽すぎる」と不満だ。市当局には「停職ぐらいでお茶を濁すのか」「これはどこから見ても汚職であり、しかも常習犯だろう」などの批判が殺到している。
これに先立つ今月1日には、広西省北海市の「城管」が、大きな刃物(おそらく模擬刀であろう)で路上販売者を怒鳴りながら狂ったように殴打したあげく、なんと加害者である城管のほうが「治療費」として5千元(約10万円)を脅し取る動画がネット上に出回った。
こうした実例から「城管」に対する国民の恨みが一層深まったばかりだった。
(2023年12月1日、大きな刃物で路上販売者を殴打したあげく、「治療費」として5千元を脅し取った広西省北海市の「城管」)
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