中共(中国共産党)が外国人投資家を呼び込もうとしている一方で、JPモルガン・チェースは中国から撤退する可能性があると発言し、ゴールドマン・サックスは中国での成長戦略を放棄すると表明した。専門家は、これは西側諸国が中共と手を切ったことの縮図だと指摘した。今後さらに多くの外資系企業が中国から撤退する可能性がある。
米中緊張高まり 外国資本、リスク回避
西側諸国が中共とのデカップリングを進める中、中共首魁・習近平は11月28〜29日に、上海先物取引所と複数のハイテク企業を視察した。習が上海を視察し、中国のビジネス環境の改善とさらに開放する意向を示すのは2018年以来、初めてのことだ
半月前のAPECサミット期間中、習近平はサンフランシスコで数百人の米企業幹部と晩餐会を開き、外国企業の撤退の流れを止めようとした。
ゴールドマン・サックスのデイビッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、ワシントンと北京の緊張の解消には数年かかる可能性があり、「コストを惜しまず中国での成長を実現させる」という戦略から脱却したと表明した。
さらに、中国の不確実性が高まっているため、「中国での財源の一部を削減している」と述べた。
1990年代初頭から、ゴールドマン・サックスは中国をグローバルな事業展開の重点分野としてきた。
台湾の財経専門家・黄世聰氏は、ゴールドマン・サックスが米国政府と非常に緊密な関係にあることが、同社が中国での戦略を諦める理由の一つだと指摘した。
「現在、米国の規制や政策は明らかに中国(中共)の拡大を制限することを目的としている。米国の政策を理解しているにもかかわらず中国での事業拡大を続ければ、将来的に大きなリスクに直面することは明らかだ」
米国では、中共との関係が深いとされる企業に対する監視の目が厳しくなっている。
10月、下院中共特別委員会は、セコイア・キャピタルによる中国のAI、半導体、量子コンピューティング企業への投資について情報を求めた。
地政学的緊張に景気後退
ウクライナやイスラエル・ハマス戦争によって、地政学的緊張が高まり、各国は中共による台湾侵攻を懸念している。欧米の金融会社も中国との関係を断ち始めている。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、米国政府の命令があれば、中国から撤退すると発言した。
オハイオ州立大学の経済学教授ルシア・ダン氏はエポックタイムズにこのように語った。
「中国が台湾、ロシア、ウクライナ、中東などに対して何をしでかすかわからないという不確実性が、おそらく多くの金融会社の評価基準を変えた。 その結果、金融会社は中国と付き合うことの悪影響はより大きいと考えたのだろう」
元中国資産運用会社の最高コンプライアンス責任者、梁少華氏は経済的な理由も考えられると考えている。
「JPモルガン・チェースは過去数十年にわたり、中国で巨万の富を築いてきたが、中国経済が減速している今、彼らが事業を縮小し、中国から撤退するのは自然な選択だ…米政府が命じれば、JPモルガンはこの機会に撤退したいのだ」
黄世聰氏は、米国の対中政策は別にして、中国に投資したら、不確実性に直面することになると指摘した。
最近、多くの外資系企業が中共の調査を受けたり、スパイや諜報の問題に巻き込まれたりしている。
「単に運営上のリスクだけでなく、中国で働いている米国人の個人的なリスクも評価しにくい」
梁少華氏によると、JPモルガンはウォール街のシンボルであり、少なくとも中国において非常に広範な影響力を持っている。
「米中デカップリングの深い文脈では、JPモルガンとゴールドマン・サックスの撤退はより象徴的な意味を持っている。米中デカップリングという観点からは、非常に明白なことだろう。 以前は小売業や製造業が撤退していたが、現在は金融業のデカップリングだ」
「中共が完全に左傾化した場合、中国は西側世界とのデカップリングに直面する。経済的・政治的デカップリングの中、経済が好転する可能性は低い」
「おそらく今後も中国から撤退する外資系企業が増えるだろう。これは中国と欧米のデカップリング全体の縮図なのだ」
ゴールドマン・サックスやJPモルガンだけでなく、11月16日付の米証券取引委員会の文書によると、ヘッジファンド大手のタイガー・グローバルやソロス・ファンドなど米国の大手機関投資家も、第3四半期に中国株の売りを加速させたという。
今年最初の7か月間に、中国の株式市場に流入した外国資本の4分の3以上が中国から撤退し、世界の投資家は250億米ドル(約3兆7015億円)以上の株式を売却した。
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