不審死した中共政府への異見者 真相究明を求める友人まで逮捕される

2023/11/23
更新: 2023/11/23

江蘇省南京市の市民で、中共政府への異見者である孫林氏(68歲)は17日、公安「国保」がその自宅に訪れた後、不審な死を遂げた。

孫林氏の友人たちは、彼の死因について「国保の暴行を受けて、殺されたのではないか」と疑っている。現在、孫林氏の妻子は警察に脅されて、口止めされている状態だという。

そのようななか、孫氏の死因について疑問を抱き、真相の究明を求めた中国国内にいる孫氏の友人までが、当局によって逮捕されたことがわかった。

孫林氏は「殺されたに違いない」

「中共政府の異見者に対する『安定維持』の方法は、もはや相手の自宅に押し入って殴打する段階を超えた。いまや実際にターゲットを死なせること、つまり『殺人』の段階にまでエスカレートしている。こうした現状について、世界は真相を知り、非難する必要がある」

孫林氏の死を、逸早く明かした同氏の友人である孫立勇氏(現在は豪州在住)は18日、NTD新唐人テレビに対して上記のように述べるとともに「(孫林氏は)殺されたに違いない」と語った。

「中国政治と宗教受難者後援会」の創始者でもある孫立勇氏によると、「17日昼頃、南京市『国保』の王達という大隊長は、部下を引き連れて孫林氏の自宅に行った。その直後、近隣住民は孫林氏の家から格闘する物音がしたのを聞いている。約1時間後、負傷した孫林氏は病院に運ばれたが、その後死亡した」という。

孫林氏の遺族は「(孫林の)遺体を見たい」と求めた。これに対して国保は「18日午後まで待てば会える」と言っていたが、その日時になっても遺族は遺体を見ることはできなかった。遺族が、医師や看護師に孫林氏の様子について尋ねたところ「病院へ着いた時は、服装が非常に乱れていた」と回答したという。

孫立勇氏によると「孫林氏は国保が家にやってくる3時間前、家族と電話で話していたが、その時は変わった様子はなかった。また、孫林氏は亡くなる3日前には総合的な身体検査をしており、健康だった」と明かしている。

そのような孫林氏の急死について、孫立勇氏は「彼は殺されたに違いない」という。

「孫氏の死」に疑問をもつ友人たちまで逮捕

なお「国保」とは、中共の「公安局国内安全保衛隊」の略であり、全国の公安体制に組み込まれている「秘密組織」の一つだ。

「国保」は、中共政府に対して異見をもつ人士のほか、人権派弁護士や民主活動家を監視、尾行、弾圧、不当拘束するのがその任務である。その国保が今では、対象となる人物に狙いをつけ、暴行して死に至らしめる集団になっている。

孫立勇氏は22日、エポックタイムズの取材に応じた際に、「孫林氏の死因に疑問を持ち、死因の究明を呼びかけていた中国国内の異見者の何人かが、すでに現地公安に逮捕された」と明かした。

20日、孫林氏の友人ら7人は南京市当局に宛てた公開書簡を出し、当局に真相の究明と公表、関係者の責任追及を要求した。

孫林氏の友人である鄒巍氏は20日、杭州にある「中国国民党軍」の殉職兵士記念碑前で、「孫林烈士千古!」と書かれたA4サイズの紙を掲げた。その写真が、ネットに出回っている。

国民党軍といえば、国共内戦時には「中共の仇敵」であるが、その前の第二次大戦時には日本軍と戦った主力であり中国(中華民国)の正規軍であった。その国民党軍の戦没兵士を記念する碑の前で、鄒巍氏は「孫林烈士千古(孫林烈士よ永遠なれ)」の紙を掲げた。中国共産党の面目を、意図的に潰したに等しい。

それは逮捕も覚悟の上の行動だったに違いない。翌日、鄒巍氏は警察に連行されて、連絡がとれなくなった。しかも、寝たきりの高齢者である鄒氏の母親の自宅まで警察が来て、連座により「家財を没収」された。

 

2023年11月20日、杭州にある「中国国民党軍」の殉職兵士記念碑前で「孫林烈士千古」と書かれた紙を掲げる鄒巍氏。逮捕も覚悟の上の行動だったに違いない。(ネットより)

 

「あの人間たちは狂っている」

続いて21日、江蘇省の環境保護活動家の吳立紅氏も公安に連行された。このほか、孫林氏の事件に関心を持つ中国国内の複数の異見者らが、いずれも当局からの脅迫や警告を受けている。

孫立勇氏はエポックタイムズの記者に、次のように語った。

「これまで、あまりに多くの異見者が亡くなった。中共はいろんな手口を使って異見者を迫害してきた。しかし、孫林氏のケースに至っては、その手口が格段にエスカレートした。当局は、直接相手の自宅に押し込んで、殺人までしたのだ。あの人間たちは狂っている。もはや、これよりひどいものはないという段階まで来ているのだ」

孫立勇氏はまた、中共当局に命を奪われて亡くなった盟友・孫林氏について、次のように述べて称賛した。

「彼は偉大な戦士だった。非常に義理堅く、不正に出くわしたら必ず(弱者を)助ける。そんな人物だった」

孫林氏は、1955年生まれの南京市民で、南京市政府傘下の新聞社「今日商報」で編集者を務めたこともある。国際ジャーナリストNGOの国境なき記者団(RSF)のメンバーでもあった。

孫林氏は、時弊を批判する記事を書いたことで解雇されたが、その後に権利維持活動に従事するようになった。2018年に「国家政権転覆扇動罪」の疑いで4年の実刑判決を受けた。

最近では、APEC期間中にツイッターで中共の首魁・習近平が米国で抗議に遭ったことについてリツイートしていた。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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