本人が知らぬ間に「ドナー登録」される 「臓器狩り」を隠蔽するためか=専門家

2023/11/24
更新: 2023/11/25

このごろ中国共産党(中共)は、国民に対して「善意による、社会貢献としてのドナー登録」を呼びかける宣伝を、大々的に行っている。

この「ドナー登録」とは、臓器提供の可能性をふくむものである。それを申し込む書面である「人体器官捐献志願登記表」には、確かに「自らの意志であり、無償であること」や、臓器提供の意思が変わったら「いつでも変更や取り消しができる」など各種の条件が明記されている。

マッチングすれば「死亡率は100倍」に

その一方で、本人が知らないうちに「勝手にドナー登録された」と訴える市民が続出している。

中国国内でも、もはや生体から臓器を収奪する「臓器狩り」の存在は広く知られている。そのため、人が突然失踪したり、学生や子供が行方不明になる事例とも関係して「勝手にドナー登録された」ということが、大きな不安になっていることは疑いない。

ある女性は、身分証明証を紛失したところ、勝手に「中国人体器官臓器提供バンク(中国人体器官捐献庫)に登録された」として、その不正を訴える自撮り動画をSNSに投稿している。

 

身分証明証を失くした後、「知らないうちに、ドナー登録された」と訴える女性。(NTD新唐人テレビの報道番組よりスクリーンショット)

 

このほかにも、中国のSNSでは「知らないうちに、ドナー登録された」と訴える大学生は少なくない。

四川省のある学生は、学校での授業中に「(あなたが)ドナー登録を承諾する書類に署名した」と通知する内容の携帯メッセージを受け取った。

これに対して、学生はすぐに「いや、私は承諾していない」と返信した。すると、相手のシステムから「変更はできない」という回答が返ってきた。さらに、そこには「変更すれば、あなた個人の信用に影響することになる」という脅し文句までついていたという。

また、山東省臨沂市臨沭県にある「母子保健院(婦幼保健院)」の職員全員が、ドナー登録用紙(人体器官捐献志願登記表)への記入を強制されたことを明かすSNS投稿もある。

 

山東省「母子保健院(婦幼保健院)」では、職員全員が「ドナー登録用紙」への記入を強制されたという。(NTD新唐人テレビの報道番組よりスクリーンショット)

 

「本人が知らないうちに、ドナー登録される」。この不可解な事件をめぐり、あるネットユーザーから、次のようなゾッとするコメントが寄せられた。

「ドナー登録された瞬間から、あなたの体は、もうあなたのものではなくなる。どこかでマッチングしたら最後、あなたの死亡率は100倍に跳ね上がるからだ。例えば、あなたは誰かから、不慮の事故を仕掛けられるだろう。病院に運ばれたとしても、もはや助けてはもらえない。そこで死ななかったら、もう一度事故を起こされることになる」

ドナー登録は「臓器狩り」を隠蔽するため

中国では2015年1月1日から、死刑囚の臓器を使用する臓器移植を全面的に廃止した。そのため、国民が自らの意志で臓器の提供を申し出ることが、臓器移植の唯一の合法的手段となった。

米ニューヨークに拠点をおくNGO団体「追査国際(WOIPFG)」の主席であり、中国では軍医でもあった汪志遠氏は、次のように指摘する。

「(中国では)自らの意志で臓器提供を申し出る人は、ごくわずかだ。そのため、中共は今回のような大衆運動を始めたのだろう。その目的は、臓器狩りで得る臓器の出所の秘密を隠蔽すること。そして国民の臓器を、大々的に略奪するという次のステップへの道を開くことにあると思われる」

 

米ニューヨークに拠点をおくNGO団体「追査国際(WOIPFG)」の汪志遠主席。(NTD新唐人テレビの報道番組よりスクリーンショット)

 

「1.2億人が臓器提供の登録をしている米国でさえ、肝臓や腎臓の移植を希望した場合、平均で2〜3年は待たなければならない。しかし中国では、2018年の時点で臓器提供のドナー登録をしている人は30万人しかいないのに、肝臓や腎臓の待ち時間はわずか数週間だ。これはつまり、中国には、臓器を提供する巨大な闇バンクが存在していることを示している」

「しかし、その臓器バンクについて、中国共産党は明確で透明性のある供給源を示していない。そのため中共は、いま呼びかけているドナー登録を口実にして、臓器の出所に関する疑惑を説明しようとしている」

「中共は1999年から、法輪功学習者に対する大規模で強制的な臓器摘出を行ってきた。その犯罪は今も続いている。そして今や、法輪功以外の中国人もターゲットになった。臓器狩りは、全ての中国人に関係する悪夢なのだ」。汪志遠氏は、そのように述べた。

著名な調査ジャーナリストの趙蘭健氏も、次のように警鐘を鳴らす。

「強制的な臓器摘出や臓器売買のような犯罪行為について、良知と基本的な人間性を持つ人であれば、必ず立ち上がり、断固とした反対を示さなければならない。なぜならば、次の臓器狩りのターゲットが、あなた自身になるかもしれないからだ」

そもそも、中共のやることに「善意による、社会貢献」が本当にあると言えるのか。その一点からしても「このドナー登録の欺瞞性は濃厚である」とみて、間違いではないだろう。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。