今月8日、あるトピックスが中国SNSのホットリサーチ入りして、注目を集めた。その話題は「広西省の大学生が、学校内で中毒死した」である。
事件は今月1日夜、広西省にある大学「百色学院」の学生寮で起きた。学校側の発表によると「大学3年生の鍾さんは、宿舎で突然意識を失った。校医による蘇生処置で、一度は心拍を取り戻したものの、病院に搬送された後に死亡した」という。
鍾さんの死因について、学校側は「亜硝酸塩による中毒死」と主張している。しかし、学校側の説明を信用できない遺族は、校門前で横断幕を掲げて抗議するとともに、真相究明のため、社会に向けて助けを求めた。
SNSに投稿された動画のなかには、大学前で「3年生の学生が宿舎で不可解な死を遂げた。百色学院よ、息子を返せ」と書かれた手書きの横断幕を掲げて、真相究明を求める遺族の姿があった。
しかし現在、同事件の関連投稿は当局の検閲に遭っており、ネット上から削除されている。
学校側は、当該の学生(鍾さん)が倒れた時刻や校医が現場に到着した時刻、救急車が到着した時刻などの詳細な時間まで公表している。しかし、なぜ若い学生が校内で「中毒死」したのか、その肝心の部分が全く明らかになっていない。そのため、遺族ばかりでなく、学校側の説明に「納得できない」という声がネット上で広がっている。
中国では近年、学校内で「不可解な死」を遂げる学生が絶えない。さらに不可解なのは、そういった事件が起きるたびに、どの学校も「必ず」といっていいほど隠蔽を図り、真実を明らかにしないのである。
当然、遺族が納得できる説明は一切ない。あろうことか、学校側の不作為に対して抗議の声を上げる遺族やネット民を弾圧し、まるで何もなかったかのように、全てを隠滅して葬り去ろうとするのだ。
このパターン化された恐るべき「事件処理方法」は、もはや中国の社会問題になっているといっても過言ではない。息子を失った遺族が、真相究明を求めて校門前で抗議するなど日本では考えられないことだが、中国では往々にしてある。
今回のケースも同様で、全てを隠滅しようとする姿勢が大学側にあるため、遺族が悲しみをこらえて横断幕を掲げている。なお、今の中国において、警察が社会の公正さを体現することは、もとより期待できない。
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