中国に進出した日本企業の47%が中国経済に悲観的な見方

2023/10/17
更新: 2023/10/17

中国の不動産危機が、世界の成長に対する最大のリスクの一つとして国際通貨基金(IMF)と世界銀行の総会でも指摘されるなど厳しさを増す中国経済

そうしたなか、中国に進出している日本企業の半数近くが、今年中国への投資を減らしたり、投資しない計画であることを明らかにした。

10月12日、共同通信、ブルームバーグ通信によると、中国日本商会は同日北京で記者会見を開き、このような内容を盛り込んだ「中国進出日本企業の経営状況・事業環境に対する認識調査報告書」を発表した。

中国日本商会によると、この調査は先月8~22日まで行われた。中国進出日本企業8300社のうち、製造業者871社、非製造業者ー539社、計1410社が調査に回答した。

調査の結果、回答企業の半数以上で今年第3四半期の売上・営業利益が前四半期比で減少したことが分かった。約3分の1の企業は、売上・営業利益の減少幅が5%以上だと答えた。

企業は、中国内の消費縮小(74%)、製品販売価格の引き下げ(40%)、人件費上昇(26%)などの要因で、売上・営業利益が減少したと答えた。

また、回答企業の57%は、今年の第3四半期の中国経済環境が前四半期に比べて悪化したと認識し、さらに44%の企業が企業運営も難しくなったと答えた。

このような状況で、回答企業のうち25%は「今年、中国に投資しない」と答え、22%は「投資規模を縮小する計画」と答え、中国経済に悲観的な見方を示している。

中国内の事業環境と関連し「満足する」「改善が必要」と答えた企業はそれぞれ半分づつ占め、これらの企業は「人件費の上昇」(66%)「国際情勢の影響」(62%)が最も緊急の事業運営課題と答えた。

中国日本商会は「中国に進出した日本企業は依然として厳しい状況に置かれている」としながらも「多数の企業は中国事業を継続して運営している」と伝えた。

続けて「今回の調査を通じて中国内の日本企業の経営状況と事業環境を把握すると同時に、これらの企業の事業環境が改善されるよう声を上げたい」とし「今後6か月ごとにこのような調査を行う予定」だと明らかにした。

7月に中国を訪問した河野洋平前外相は、李強首相に中国内の日本企業の事業環境の改善を要請した。その後、中国当局は24項目に及ぶいわゆる「外国人投資誘致対策」を発表した。

しかし、本間哲郎・中国日本商会会長は12日の記者会見で「財界は中国政府が『外国人投資誘致対策』の詳細な実施事項を提供するのを待っている」としながらも「これまでの外国人従業員に対する減税の延長、中国ビザへのアクセス性の改善など、2つのこと以外に変わったことはない」と述べた。

中国当局はまた、8月24日からの福島原発汚染処理水の海洋放流に反対し、日本産水産物の輸入を全面禁止した。

これと関連し、本間会長は「中国が福島汚染処理水の海洋放流に強く反対したため、日本の水産物だけでなく、日本の化粧品、飲料などの通関手続きがすべて遅れた。これが製品販売に悪影響を及ぼしている」と述べた。

「私たちは中国政府に科学的根拠に基づき、冷静に(汚染処理水排出問題に)対応するよう要請し続ける」

ブルームバーグ通信は「日本企業は中国に最も大きな規模で投資する集団の一つだ。日本企業が中国への投資に消極的であることは、すでに困難に直面している中国経済のさらに大きな負担になるだろう」と予想した。