「階段の踊り場」がホテルの部屋 これで連休中は1泊1万円以上=北京

2023/10/08
更新: 2023/10/08

北京のあるビジネスホテルの部屋は、階段の「踊り場」を改造したものだった。

この「踊り場部屋」が格安であるかというと、そうでもない。なにしろ金を儲けるためにひねり出した知恵であるため、連休期間中は1泊650元(約1.3万円以上)の値がつけられた。

「部屋」といっても、まさに階段の踊り場を仕切って、ドアや空調装置をつけただけ。細いシングルベッドに小さなテーブル、ゴミ箱を置いた6㎡ほどの激せま空間だ。

窓はあるが、閉め切り。もちろんトイレも浴室もないので、部屋の外の設備を使用しなければならない。部屋のドアを開けると、ベッドにたどり着く前に階段を降りるという、他のホテルにはない「特別な体験」つきだ。

 

写真(左)と(右上)は「踊り場部屋」の様子。写真(右下)は、これを販売していた北京のホテル「格林豪泰智選酒店」。(中国のネットより)

 

この「踊り場部屋」の平常時の価格は最安値で1泊188元(約3,900円)だが、大型連休中は1泊650元(約1.3万円以上)にまで高騰した。

ホテル側の説明によると、この踊り場部屋は「特定のお客様のニーズを満たすことができます」という。

これに対して、ネットユーザーからは「特定のお客様だって? 低端人口(低級の人びと)専用だと言えばいいだろう」といった皮肉コメントが寄せられている。

「低端人口」とは、低ランクの人たちの意味で、主に農村出身の出稼ぎ労働者を指している。

北京では2017年11月、大規模なアパート火災を発端に、当局による火災防止対策として、出稼ぎ労働者を北京市内の宿泊施設から締め出した。

11月といえば、北京は初冬である。臨時の受け入れ施設や支援策が全くなかったため、氷点下にもなる酷寒のなか、路上生活を強いられる人々が街中に溢れだす事態となった。

中国メディアによると、このホテルに3室あった「踊り場部屋」は、いずれも火災警報器の未設置などの消防法違反により、連休が終わった現在は販売停止となっている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。