北京のあるビジネスホテルの部屋は、階段の「踊り場」を改造したものだった。
この「踊り場部屋」が格安であるかというと、そうでもない。なにしろ金を儲けるためにひねり出した知恵であるため、連休期間中は1泊650元(約1.3万円以上)の値がつけられた。
「部屋」といっても、まさに階段の踊り場を仕切って、ドアや空調装置をつけただけ。細いシングルベッドに小さなテーブル、ゴミ箱を置いた6㎡ほどの激せま空間だ。
窓はあるが、閉め切り。もちろんトイレも浴室もないので、部屋の外の設備を使用しなければならない。部屋のドアを開けると、ベッドにたどり着く前に階段を降りるという、他のホテルにはない「特別な体験」つきだ。
この「踊り場部屋」の平常時の価格は最安値で1泊188元(約3,900円)だが、大型連休中は1泊650元(約1.3万円以上)にまで高騰した。
ホテル側の説明によると、この踊り場部屋は「特定のお客様のニーズを満たすことができます」という。
これに対して、ネットユーザーからは「特定のお客様だって? 低端人口(低級の人びと)専用だと言えばいいだろう」といった皮肉コメントが寄せられている。
「低端人口」とは、低ランクの人たちの意味で、主に農村出身の出稼ぎ労働者を指している。
北京では2017年11月、大規模なアパート火災を発端に、当局による火災防止対策として、出稼ぎ労働者を北京市内の宿泊施設から締め出した。
11月といえば、北京は初冬である。臨時の受け入れ施設や支援策が全くなかったため、氷点下にもなる酷寒のなか、路上生活を強いられる人々が街中に溢れだす事態となった。
中国メディアによると、このホテルに3室あった「踊り場部屋」は、いずれも火災警報器の未設置などの消防法違反により、連休が終わった現在は販売停止となっている。
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