ジム・リッシュ上院議員は、連邦取引委員会(FTC)に対し、青少年のTikTokユーザーのデータを保護し、彼らを潜在的に有害なビデオのトレンドから保護するためにどのような措置を取っているのか、また「中国共産党(中共)のプロパガンダを直接促進するアルゴリズムの開発」を止めさせるためにTikTokにどのような措置をとっているのか説明するよう求めた。
7月31日の書簡でリッシュ議員は、上院外交委員会の幹部として、中国政府が支援するソーシャルネットワークが、米国の若者に与える影響を考えると、「最も懸念すべき嵐である」と指摘した。
リッシュ氏は書簡で、「中共とのつながりや、個人の機密情報を収集・管理する方法を考慮に入れると、TikTokは数百万人の米国人の健康、安全、プライバシーにとって長期的に最も大きな脅威を引き起こす可能性がある」と述べた。
「TikTokは洗脳マシンのようにできている。そのユーザーベースは最も影響されやすく、弱い立場にある青少年。このアプリとそのコンテンツは、若い世代を惹きつけるようにできている」と同議員は指摘している。
この書簡は、北京に本社を置くテック大手ByteDanceが所有するこのアプリと中共政権との関係が厳しく審査されている中で送られた。
セキュリティ上の懸念
6月に公表された「フォーブス」誌の調査では、TikTokの幹部が、米国ユーザーのデータは中国国外で保管されていると繰り返し証言していたにもかかわらず、一部の情報が中国国内に保管されていたことが判明した
「ほぼ全ての企業が様々な種類のデータを収集しているが、TikTokの規模の大きさと中共がいつでもTikTokからデータを取得して悪用できる能力は、最も懸念すべき嵐になっている」とリッシュ議員は語った。
今年初めのTikTokのプレスリリースによると、このアプリは1億5千万人以上の米国ユーザーを持っている。これは米国の人口のほぼ半分に相当。
書簡ではこのように書かれている。「全てのソーシャルメディア企業はユーザーにアルゴリズムを使って何のコンテンツが表示されるかを決定しているが、TikTokを使うことは特に深刻なリスクを伴う」
「この会社は、中共が政治的に敏感とみなすトピックを検閲し、米国民が全ての情報にアクセスできないようにしている。更に懸念すべきことは、中国のByteDanceの従業員と中共当局者がTikTokのデータにアクセスできることが、複数の内部告発者からわかっている」
リッシュ氏はまた書簡で、TikTokが米国人に対し、潜在的な影響を及ぼす可能性について警告し、TikTokのコンテンツが米国人を「中国(中共)に共感的」にさせる可能性に懸念を示した。
同氏はまた、クリストファー・レイFBI長官の証言を引用し、このアプリが中共の政策アジェンダ、特に反台湾感情を広めるために使用される可能性があると指摘した。
アプリに関するその他の懸念事項
一部の上院議員は、TikTokが導入した電子商取引プラットフォームが米国市場を席巻するのではないかと懸念している。ByteDance社は8月に新たなプログラムを立ち上げて、TikTokの米国における電子商取引の存在感を高める予定であると言われている。
ある報道によると、TikTokは中国の電子商取引プラットフォームであるTemuとSheinと競争したいと考えている。
これらの2つのプラットフォームは、中国で作られた低価格の商品を直接顧客に販売することで、米国で大きな成功を収めている。
フロリダ州の共和党上院議員マルコ・ルビオ氏はエポックタイムズに「TikTokはSheinとTemuの道を辿るだろう。つまり、強制労働で製造された商品で米国市場を溢れさせ、貨物を税関検査の最低限度である800ドル(約12万円)以下に保つことで、ウイグル強制労働防止法を回避する」
「これは米国のビジネスを弱体化させる。なぜなら、誰が強制労働や輸入関税免除と太刀打ちできるのか? 更に悪いことに、これは米国市民を中共の新疆でのジェノサイドに加担させることになる」と語った。
一部の州政府は、州が発行または所有するデバイスでTikTokの使用を禁止している。カリフォルニア州上院法案第74も同様に禁止令を求めている。
FBI局長のレイ氏が議会でTikTokが悪用される可能性について証言した後、米国では20近くの州が政府が管理するデバイスでのアプリの使用を禁止または何らかの制限を設けている。
モンタナ州は更に一歩進んで、2024年1月からTikTokの完全な禁止を法律で定めた。この法律では、AppleやGoogleなどのテック企業が、州内の人々が彼らのアプリストアを通じてTikTokをダウンロードすることを禁止している。
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