中国で児童への性犯罪が増加 専門家「中国共産党による道徳崩壊の結果の一つ」

2023/07/19
更新: 2023/07/20

中国最高人民検察院(最高検)は先月1日「未成年者検察活動白書(2022)」を公表した。そのなかで検察院は、未成年者が被害者である性犯罪事件が近年増加傾向にあり、さらに被害者の年齢も低年齢化していると指摘した。

こうした目を覆う現状のなかで特に許し難い事例は、児童への性犯罪のなかで加害者が社会的地位のある中共幹部や、校長など学校の管理職をふくむ教師であるケースだ。しかも、それが「最も多い」という。

子供への性加害者「最も多いのは教師」

2020年~2022年の3年間を見ると、未成年者に対する性犯罪容疑で起訴された人数は57,295人(2020年)、60,553人(2021年)、58,410人(2022年)だという。

中国当局が発表する公式データに信用性がないことは言うまでもないが、性的暴行をふくむ各種の性犯罪が明るみになり、統計にカウントされるのはむしろ氷山の一角でしかない。

そこには、被害者が相手の権力に立ち向かえなかったり、口封じをするよう脅されるなどして誰にも言えず、全てを胸の内にしまうことを強いられる被害者も多いはずだ。そのため、実際の被害者数は公式データ以上と考えてよい。

児童を保護する公益組織が先月21日に公表した「中国児童性的暴行防止10年(2013-2023年)観察報告書」(以下「報告書」)のなかでも、過去10年間に起きた児童への性犯罪において「知人による犯行」の割合が高く、被害者の低年齢化が進んでいることが明らかになった。

報告書によると、過去10年間における被害児童は5,500人超で、男女比はおよそ1:9であるという。

「知人による犯行」のケースのうち、教師が加害者となる割合が最も高く、全体の35.38%を占める。続いて友人が12.74%、隣人が11.32%、家族親族が10.38%。そのほかネットで知り合った相手が9.91%、その他が19.81%となっている。

子供への性加害者で「最も多いのは教師」

湖北省随州市随県にある「博愛特校」の校長・劉愛業が、4年にわたって障害を持つ女子生徒に対してレイプなどの性的加害を行ってきたことが生徒の告発で発覚した。

劉は昨年末「わいせつ罪」で懲役3年半の実刑判決を言い渡されている。仮にも校長職にあるものが、障害を持つ生徒に対して、決して許されない卑劣な罪を犯した。しかし、犯行の全てを立証する証拠がないため「3年半」という軽い判決で済んだことに対し、ネット上では一時抗議の声が広がった。

この劉愛業は、かつて中国の官製メディアが「500人の障害児童を守る『劉パパ』」と称賛し、宣伝されたこともあるため、現地では有名人だという。

「障害児童を守る『劉パパ』」と官製メディアが称賛したこともある「博愛特校」の校長・劉愛業。しかしその裏の顔は、障害をもつ女子生徒に対する性加害者であった。(動画よりスクリーンショット)

また、甘粛省のある小学校教師の李は、2012年~2018年の6年間、学級担任と数学教師の立場を利用して、補習指導、試験問題の添削、家庭訪問などを口実に女子生徒15人にわいせつ行為やレイプなどの性的暴行を行った。被害生徒のうち、最年少の子供はなんと6歳未満の女児だった。今年2月、李は懲役13年の判決を受けた。

江蘇省塩城市の小学校に勤める男性教師「A」は、2017年9月~2020年7月までの約3年間で、15人の女子生徒に対して230回以上もわいせつ行為を行った。

このうち、3人の生徒に対しては計20回も強姦したという。2021年11月、Aは執行猶予付きの死刑判決を受けている。Aは学級担任および国語教師として勤務していた。Aの夫婦関係は良好で、なんとその妻も同じ学校で働いていたという。

2023年5月19日、校長が複数の生徒に性的虐待を行っていたことが明らかになった。湖南省衡陽市耒陽市の小学校前で、保護者が横断幕を広げて抗議をしている様子。横断幕には「禽獣校長」の文字が見える。 (動画スクリーンショット)

言うまでもなく教師は、勉強だけでなく、社会のルールや道徳を教え、子供たちを導く責任ある職務である。そんな教師が性犯罪の加害者になるなど、断じて許されないことだ。

「女児への性的嗜好」をもつ中共高官

一部の「禽獣(けだもの)教師」ばかりではない。中国共産党体制内の官僚のなかには、複数の愛人を抱えるだけでなく、未成年者や女児への性的虐待を嗜好する異常な人間も少なくない。ほとんどが権力を使って被害者を黙らせているが、一部には事件が明るみに出るケースもある。

2013年6月、河南省の役人で強姦の罪に問われていた李新功の死刑が執行された。李は過去に未成年の女子11人に性的暴行を行ったとされている。

2013年8月、雲南省昭通市大関県の役人であった郭玉馳は、4歳の女児を自宅に連れ込み性的暴行を加えたため、後に懲役8年の刑を言い渡されている。

2019年、河北省唐山市遷安市の公安局の元党副書記であった康勇は、6人の14歳未満の女子に性的暴行を加えたとして、16年6カ月の実刑判決を言い渡された。

この事件は氷山の一角であり、後に遷安市の少女強姦事件の全容を暴くきっかけとなった。一連の加害者には、体制内幹部や全国人民代表大会(全人代)の代表、金持ちの実業家など数十人がふくまれていた。
 

人間の道徳が欠如した社会

今月2日、エポックタイムズの取材に応じたフリーライターの諸葛明陽氏は、次のように語る。

「未成年者への性的暴行を嗜好する中共幹部は実に多い。彼らは職権を利用して公然と幼い女児をレイプしている。社会全体がすでに道徳が欠如した状態になり、腐りきっている。中国がこうなったのは、中国共産党というゴロツキ政権による統治の結果だ」

また、日本在住の民主化活動家である夏一凡氏も2日、エポックタイムズの取材に対し、次のように述べた。

「児童が性的暴力を受けたり、拉致や人身売買される事件が後を絶たない。これは、国家全体のモラル崩壊の現れだ。中国社会を正常な状態に戻すには、中国共産党を捨て、伝統を取り戻すことで、道徳を重んじ、善行を行うしかない」 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。