カナダ人は一般的に「温和である」と知られているが、世界の情勢が変化する中で、今の中国に対する意識は、明らかにマイナスへと傾いている。
今月10日に発表された最新の世論調査では、6割を超えるカナダ人が中国を「脅威」あるいは「敵」と考えていることがわかった。米政府系放送局のボイス・オブ・アメリカ(VOA)11日付などが報じた。
一方、米国や台湾、インドに対しては好意的で、とくに台湾への好感度は6割以上との調査結果も出ている。
同調査はカナダの世論調査機関アンガス・リード研究所(Angus Reid Institute)が先月下旬、カナダ国民1622人を対象に実施した。
調査の結果「カナダ政府は中国をカナダの利益に対する脅威と位置付けるべきだ」と答えたカナダ人は40%を占めた。また「中国はカナダの敵だ」と答えた人が22%だった。
この2項目を合わせると、実に62%と半数以上のカナダ人が「中国を良く思っていない」ことがわかった。中国を肯定的に捉える回答は、全体の12%に過ぎなかった。
一方、73%のカナダ人は米国を少なくとも「友人」として見なすべきと考えているほか、回答者の62%は「台湾に良い印象を持っている」という結果が出た。
また、インドに関しては42%の回答者が「友好的な態度を持つべき」と答えている。1割のカナダ人は「インドを重要なパートナーや同盟国として見なすべき」と考えている。
カナダ人の対中感情の変化については、2018年末にカナダが米国から詐欺の疑いが持たれていた中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の副会長拘束やその後の人質事件、人権問題などを巡り、両国関係が近年急速に悪化している背景がある。
最近では、カナダ上空を通過したスパイ気球や中国による選挙介入疑惑なども報道されており、カナダにおける中国の印象は悪くなるばかりだ。
また昨年、中国の政府関係者を「政治工作員」と見なしたカナダ当局がビザの発給を拒否していたことが、今月9日、明らかになっている。カナダのジョリー外相が明かした。
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