米連邦裁判所は7日、所属先の防衛関連企業から入手した機密情報を中国政府の代理人に提供し、その見返りに数千ドルを受け取っていたとして、米陸軍の元ヘリコプター操縦士のシャプール・モイニアン被告に懲役20カ月の判決を言い渡した。
モイニアン被告は1977年から2000年まで米陸軍に所属。その後は、機密情報などにアクセス可能な国防総省などの防衛請負業者に勤めた。被告は今年6月に罪を認めている。
裁判資料によると、被告は軍や米国情報機関が使用するさまざまな航空プロジェクトに従事していた2017年、接触してきた中国の技術系リクルーターを名乗る男に、米国で設計または製造された航空機に関連する情報をUSBメモリーに保存して渡した。
その後も複数回、香港や台湾、バリ島などに渡り少なくとも2つの所属先から盗んだ機密情報を中国共産党の代理人に提供し、その都度報酬を得ていた。
被告の弁護人によれば、中国側に提供した情報の大半はインターネット上のオープンソースから入手可能だが、ごく一部は被告の雇用主の専有情報が含まれていたという。
そのほかの裁判資料によると、被告は継娘の韓国の銀行口座を使って中国政府当局から支払いを受け取っていた。被告は継娘に対して「コンサルティング業務のため」と説明し、送金作業を行わせていた。
このほか、被告は機密情報を渡した人物が中国共産党から指示を受けていたことを知っていたという。
ジェフリー・ミラー判事は「産業スパイ行為だが、軍事スパイの域に達している。極めて重大な犯罪だ」と非難。ランディ・グロスマン連邦検事も、米国の技術と知的財産の窃盗を非難し「外国政府の指示で米国人から盗みを働く者を、米国は積極的に捜査し、起訴する」と述べた。
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