党大会、習氏「ゼロコロナ堅持」を再び表明 経済への影響に言及せず

2022/10/17
更新: 2022/10/21

中国共産党は16日、第20回党大会を開幕した。3期目続投が確実視されている習近平党書記は同日に活動報告を行った際、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染政策「ゼロコロナ」を今後も堅持していくと表明した。すでに厳しい状況にある中国経済は、さらに悪化するとの見方が出ている。

習氏は「ゼロコロナを揺るぎなく堅持する」ことで、「国民の命と健康を最大限に守れた」「経済的社会発展は大きな成果を上げた」と主張し、「政府は重大な感染病の防止・治療体制と応対能力をさらに強化し、感染拡大を有効に抑制する必要がある」と指示した。

世界各国がウィズコロナを模索し、感染を抑えながら社会経済活動を再開しようとしているなかで、中国政府は依然として国内で厳格な感染対策を続けている。新規感染者が確認されるたびに、地元政府が住宅地を封鎖し、住民に外出・移動制限を強要し、工場の操業中止や店舗の営業停止を命じる。

16日の党大会開幕前、共産党機関紙・人民日報は3日連続「ゼロコロナを堅持しなければならない」と主張する社説を掲載した。

中国国内外では、世界のサプライチェーンを混乱させ、中国国内経済を減速させ、人権を侵害しているとして、習政権の「ゼロコロナ」政策を巡り批判の声が相次いでいる。

中国寄りの世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長も5月に中国の「ゼロコロナ」を批判した。

このほど、新疆ウイグル自治区や貴州省などの一部の都市では、住民が封鎖に抗議するデモを行ったほか、国内のシンクタンクが「ゼロコロナ」を見直すよう呼びかけた。党大会に向けて厳戒態勢が敷かれた北京市では13日、「PCR検査はいらない、食料品がほしい」「習近平を罷免せよ」などと書かれた横断幕が出現した。

英BBCの報道は、習氏の16日の発言について、「将来も中国では都市封鎖、大規模なPCR検査、健康コード、隔離措置、旅行制限などが間違いなく続くだろう」とした。

ブルームバーグは、北京市に拠点を置く投資銀行「香頌資本(Chanson Capital)」のアナリストの話を引用し、習氏の「ゼロコロナ」堅持の発言は「市場関係者の心理を悪化させている 」とした。中国共産党が厳しい感染対策を維持することで、若い失業者が急増し、企業や消費者の信頼感を低下させ、不動産セクターが一段と低迷することが予想されている。

習近平氏は16日の活動報告の中で、自身が最高指導者を務めた過去10年間に、貧困脱却や小康社会の全面的達成などの成果を得たと強調した。今後中国共産党の指導のもと「中国式現代化」による「中華民族の偉大な復興を進めていく」とした一方で、国内の景気悪化や失業者増加などには言及しなかった。

張哲
張哲
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