李克強首相、中国メディアの扱い方に変化 党大会控え権力闘争勃発か

2022/05/23
更新: 2023/11/14

中国の李克強首相に関する官製メディアの報道が最近急増した。最高指導者の習近平・共産党総書記が第20回全国代表大会で3期目の続投を目指すなか、これまで存在感の薄かった李克強氏が党内で大きな発言力を得たという憶測が広まっている。

5月14日、国営新華社通信と共産党機関紙の人民日報が半月以上も前の李克強氏の長編経済政策演説(全文)を同時に掲載した。演説の一部は、「ゼロコロナ対策」が経済の衰退を招いたとほのめかし、習近平氏のこの政策を暗に批判した。

李氏は同演説で「国内外の情勢の変化をよく把握・研究し、新たな対策や政策案を検討・策定する必要がある」と述べた。中共の最高指導者という立場でのコメントだけに、李氏は党内での立場が大きく変わったとの噂が流れた。

全国各地の共産党機関メデイアも「李克強談話を徹底して学習し実践する」という報道を繰り出している。

長い間、官製メディアは李克強氏に対する扱いは小さく、習近平氏に常にスポットを当てていた。相次ぐマスコミ報道の変化は、中国共産党指導部内の力関係の変化を表しているとみられる。 

一方、習近平氏の重病説が飛び出ている。

15日付の英紙デイリー・メールとサン紙は、習氏が昨年末に脳動脈瘤と診断され、現在治療中であると報じた。

10日、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の就任式に出席した中国の王岐山副主席は文在寅(ムン・ジェイン)前大統領との会談で、習近平氏を「彼」と連呼した。この失礼な呼び方に習氏の地位低下を意味しているのではないかと物議を醸した。

5月11日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、李克強氏は10年ぶりに現れた対抗勢力になりうると評した。

SNSでは、習氏は権力を李氏に明け渡したとの情報が流れ、大きな注目を集めた。

中国政治に詳しい在米時事評論家の王軍濤氏は、大紀元の姉妹メディア新唐人テレビの番組で、習氏が権力を失ったという噂は事実ではないと指摘した。北京大学出身の王氏は在学当時、李克強氏と親しい関係にあったと言い、「性格の控えめな李氏は、習氏に反旗を翻すようなタイプの指導者ではない」と述べた。

ポンペオ前米国務長官の中国政策顧問を務めたハドソン研究所のマイルズ・ユー上級研究員は、米紙ワシントン・タイムズに対し、「噂の信憑性はともかく、中国共産党内で権力闘争が勃発時、反対勢力はいつもこの手の噂を利用して相手に打撃を与えようとしている」と指摘した。

 

叶子静

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