ロシアによる北方領土進出企業への税優遇は遺憾=官房長官

2022/03/10
更新: 2022/03/10

[東京 10日 ロイター] – 松野博一官房長官は10日午前の会見で、ロシアが北方領土に進出する企業に対して税制の優遇措置を設けたことは「遺憾」であり、改めて日本の立場をロシア側に申し入れたと語った。

北方領土(北方四島、ロシア名クリル諸島)は、日本が領有権を主張し、ロシアが実効支配している。

ロシアの新制度では、北方領土を含む島の税制について、ロシア政府の登録を受けた企業に法人税や固定資産税など最大20年間の優遇措置を設けるなどとしている。松野長官は「北方4島に対する日本の立場や、首脳間の合意に基づき日ロ間で議論してきた北方4島における共同経済活動の主旨と相容れない」と述べた。

ウクライナのクレバ外相は9日、ロシア軍が占拠しているチェルノブイリ原子力発電所の電源が喪失したと明らかにした。これに関連し松野長官は「先に行われたザポロジエ原発への攻撃を含め、原子力施設に対するロシアの一連の行為を強く非難する」と語り、ロシアに対して同様の行為を即座に停止するよう強く求めた。

<穀物価格、情報の収集・分析進める>

農林水産省が9日発表した今年4月期の輸入小麦の政府売渡価格が昨年10月期から17%上昇し、2008年10月期以来の高水準となるなど、足元で穀物価格の上昇が国民生活に与える影響が懸念されている。

松野長官は、日本ではロシアとウクライナから穀物の輸入はほとんどないが、国際価格や貿易の動向に関する情報の収集・分析を進めると述べた。貿易などで影響を受ける可能性がある農林水産業や食品関連産業の事業者に向けた相談窓口を農水省に設置し、資金繰り支援などの情報発信を強化したという。

一方、アラブ首長国連邦(UAE)のアルオタイバ駐米大使は9日、UAEは原油増産を支持しているとし、石油輸出国機構(OPEC)に検討するよう働き掛けると述べた。松野長官はこの声明を「承知している」とし、次回のOPECプラス閣僚会合で国際原油市場の安定に向けた議論が行われることに期待を示した。10日開催予定の主要7カ国(G7)臨時エネルギー大臣会合においても、エネルギー市場の安定化に向け、各国と連携していきたいと語った。

(杉山健太郎 編集:田中志保)

Reuters
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